シリーズ4作目。
今回も澪の頑張りに声援を送りながらの読書となりました。4作目ということで、そろそろマンネリ化しそうなものなのに、そのマンネリ感をほとんど感じさせない作品。
この4作目で、ようやく澪が想いを寄せる小松原の正体と野枝ちゃんがどうしてあさひ太夫となったのかが明かされる。
小松原の正体が明かされたのはいいんだけど、ますます澪の恋路が厳しいものになっていってしまって・・・。切なさに胸が締め付けられる。そして、もうひとりの美緒の恋路もなかなか上手くいかないようで・・・。ふたりの「みお」ちゃんに、どうか幸せになってもらいたいなぁと思いつつ、どうにもならないものもあるんだよなぁ・・・と諦めの境地にもなったりもしてしまった読者でした。でも、小松原の気持ちは澪にあるのでは?と思わせる記述もあったりもして、今後もやきもきさせられそうな雰囲気。身分違いの恋ですが、そこら辺りはね、髙田マジックでなんとかして欲しいもんです。澪の幸せの為なら、ご都合主義でも何でも持ってこーい!ってなことを思っちゃうのは読者のワガママでしょうか(笑)
澪の恋心も切なかったけれど、野枝ちゃんの方もなかなか・・・。そんなことがあったのか!そして、だから今、あんな境遇に置かれているのか・・・。今の澪には、どうにも出来ないもどかしさ。恋も友情も、どちらもままならず。本当に切ないなぁ・・・。
それでも澪は頑張る。切なさを抱えながらも料理対決に挑んだり、誰かの為に一所懸命になったり・・・。読みながら、そんな澪に声援を送るだけしか出来ない読者の自分に、ついついもどかしさを感じてしまったりもしました。
全編、切なさ漂う作品ではありましたが、澪の創り出すお料理の美味しそうなことといったら!作品では冬。これからちょうどその冬に向かう季節ですね~。ほかほか立ち昇る湯気の白さを想像しては、今年の冬を想い、ついつい生唾を飲み込んでばかりでした(笑)特に気になったのは、料理対決で登場した「寒鰆の昆布締め」。思わず手を合わせたくなるような、そんなお料理。読みながらウッカリ目頭が熱くなっちゃったんですが、いつか、一度でいいから、そんなお料理に出会ってみたいなぁ・・・と思いました。
・花嫁御寮-ははきぎ飯
・友待つ雪-里の白雪
・寒紅-ひょっとこ温寿司
・今朝の春-寒鰆の昆布締め
(2010.09.21読了)
2010年09月26日
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料理人としても人間としても、澪ちゃんが成長していっているのを感じますが、それがまた切ないですね。
小松原とせっかくいい雰囲気なのに……。とってもじれったくて、まだまだ目が離せませんが、私もご都合主義でもなんでもいいからハッピーエンド希望です♪
ホントに色んな意味で美味しい本だったね~(笑)蕪かぁ…い、いかん!今、お昼ごはんを食べたばっかりなのにーっ^^;
切ない恋の相手の小松原とはどうなるんでしょう。気になるよね…。髙田マジックでハッピーエンドにしてほしいですね!
意識してなかったのですが、3作目を読んでから1年以上が経過していて^^;ようやく4作目を読みました。今回は読んでいて辛いというのはありませんでしたが、どれも切なかったですねー。小松原さんの正体が分かって澪の恋路がますます険しいものになって、切なくなりました。
それでもどの料理も美味しそうでした。最後にレシピが載っていますが私には無理だなぁと思って想像だけで終わらせてます^^;
これからもゆるゆると読み進めていこうと思います。
とんでもない!発掘していただいて嬉しいです♪本当にありがとうございますm(__)m
切ない巻でしたよねぇ。澪の恋路を思うと堪らない気持ちになりました。
とは打って変わって、お料理はどれもこれも美味しそうでしたね。私も作るより食べたい!と思いながら読んでました(笑)