第7回本格ミステリ大賞受賞作。
ヤ・ラ・レ・ターーーっ!!
もうね、ものの見事に著者に騙されました。騙されまくりました。く、悔しいーっ。
道尾さんの未読本を出版順に読んでるんですが、デビュー作からだんだん上手くなってきてるのがよーく分かります。・・・って、エラソウですが。
主人公は小学5年生の鳳介。その母親の葬儀の場面から始まる物語。父親、そして、家族ぐるみの付き合いである水城家。その娘である幼馴染の亜紀。鳳介の母親の死から数日後、今度は亜紀の母親が自殺。いったい何故?そして、鳳介が辿り着いた真実は・・・。
え~気をつけますが、うっかりネタバレしてる可能性大です。未読の方はご注意を。
もうねー、ホントにまんまと騙されました;;;あんな風に描かれたら、どうしたってあの人を疑ってしまうじゃないですかーっ!おまけに、小学5年生なんだから、そういう雰囲気に気付かないのはしょうがないよなぁ・・・なんて、そんな風に思っちゃったりもするじゃないですかっ!それが、それが・・・。くぅーーっ!まさに「そっちかーっ!」な真相に身悶えしました。小学5年生の鳳介くん、君を舐めててごめんよ;;;アタシがおばかちゃんでした;;;と謝りたい。まさか、そうくるとはねぇ・・・ホントにねぇ・・・がるるるるる・・・あぁ、悔しいよぉーぅ。
と、読了後もひとしきり吼えまくった私であります(笑)
自殺、精神疾患、性的虐待・・・なんだかもうね、いろんなものがテンコモリで、不穏な空気満載。びみょーなバランスでなんとか保っている、そんな雰囲気に満ちていて、ぴりぴりとした緊張感が漂いまくる作品。読んでいて、心臓がドキドキと波打つのすら自粛しちゃいそうな、そんな印象も受けました。そんな訳で、息を詰めての読書。なかなか疲れました;;;
で、「そうきたかーっ」な真相。思い返せば、そこここに伏線は貼ってあったんですよね。その伏線の紡ぎ方を読み手に間違わせる・・・そんな著者の思惑に、まんまと乗せられた読者でした。すーっごく悔しいけど、それと比例するくらいの心地良さを感じているのも事実。ここまで騙されると、ある意味、爽快ですねぇ。ちょっと嬉しくもなってきちゃいます(笑)
ただ、小学5年生にあの真相を見せたのは、ちょっと酷なような気もしないでもないんですが・・・。子供達は知らないままでいて欲しかったなぁ、と思ってしまいます。
・・・と、「良かったなぁ」と思えるラストながら、完全にスッキリしない所も道尾作品の魅力でしょうか。
(2010.09.21読了)
2010年09月26日
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道尾秀介/ 「シャドウ」/東京創元社刊
Excerpt: 道尾秀介さんの「シャドウ」。 母が癌でこの世を去った。小学5年生の凰介は、父洋一郎との二人暮らしが始まった。 その数日後、父の友人の水城の妻が、父の勤める医科大学の研究棟の屋上から飛び降り自殺 を遂..
Weblog: ミステリ読書録
Tracked: 2010-09-30 06:43
まんまと騙されました^^;そうなんですよね。これでその通りならちょっとねぇ;;;と思っていたら…だったので、余計に悔しい。でも、嬉しい(笑)複雑な気持ちです。
いつもTBありがとうございます!