世界でいちばん長い写真（誉田哲也）

この著者の作品は「武士道シックスティーン」から始まる武士道シリーズしか読んでなかったんですよね。他作品も読んでみようかな、と思いつつ今まで手が出なかったのは、なんだかハード系？って感じだったから。どうも武士道シリーズとはちょっと毛色が違いそうだったんだよねぇ。でも、この作品はハード系じゃなさそう・・・と思ったので手にとってみたのでした。


最初は「これはちょっとハズレだったかなぁ。」なんてことをチラッと思ったりしつつ読んでたんですよね。中学三年生の宏伸は親友だった洋輔が転校してしまってから、無気力な日々を送っていた。・・・という、この無気力な感じのせいかどうか、どうもね、読書が進まなくって。わざわざ予約までして借りてきた図書館本だったので、イマイチびみょーな心持で読んでたんですよね～。

ところが！宏伸が祖父のリサイクルショップで「回転して３６０度の長い写真を撮れる」カメラを発見してから、気持ちが乗ってきて(笑)とーーっても楽しかった。途中、思わずホロリとしちゃったりもして。中盤から最後までは一気読みでした。

３６０度撮れるカメラで何を撮影する？そして、その後に登場した全長約150ｍの写真となる「世界一長い写真を撮れるカメラ」。一度の撮影で１３回転もしちゃうカメラ。これを使ってどんな写真を撮る？もうね、宏伸たちと一緒に読んでる私も「ギネス記録に挑戦だ！」とワクワクしちゃいました。

世界一長い写真の撮影は、それこそ、読んでるだけで笑顔。全部で１３回転もしちゃうカメラ。みんなで大騒ぎしながらの撮影。その風景が容易に想像出来たし、ガンダムとかね、想像しただけでホント楽しくなっちゃいました。楽しかったんだけど、なんだかホロリとしちゃったりもした私。歳を取ると涙もろくなってイカンですねぇ～。・・・って、私は昔っから涙もろかったんですけどね(笑)撮影が終わって、気が付くと無気力だった宏伸がすっかり変わっていて。成長した姿に「青春だよな～」とまたまたシミジミしちゃったり・・・。

そうそう。主人公の宏伸は割と平凡な感じだったのと対照的に、お祖父ちゃんとかあっちゃんとか周りの人たちがとーーーっても個性的。特にあっちゃんはね、なんだかんだ言って面倒見がよくって素敵なお姉さんでした。・・・まぁ、多少は打算もあったようなんだけど(笑)

世界一長い写真も見てみたいですが、個人的にはひまわりの写真が見たい。特に夕方の写真！私の想像力では、その魅力の１０分の１も思い描けないような、そんな気がします。

武士道シリーズほどではなかったけれど、この作品も「青春！」って感じで楽しかった。この著者の他作品も読んでみなくちゃ。



（2010.09.19読了）

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な～んと！このお話のモデルとなった山本新一さんのサイトがありました♪
そこには、「ひまわり」の写真が！！うわ、すごーーい！！

世界でいちばん長い写真
光文社
誉田 哲也

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