面白かった~!かなりトンデモナイ設定だったけど(笑)
最近の伊坂作品は、読み始める前に「これは大丈夫かな。面白いかな。」とドキドキする。特にこの作品は、太宰治の未完作品「グッド・バイ」から創造を膨らませて創った作品ということも不安材料のひとつでした。「グッド・バイ」って読んでないんですよね。そんな私が、これを読んで楽しめるのか、読んでなければ意味が通じない部分があるんじゃないか、とあれこれ考えるとねぇ・・・。おまけに、最近の伊坂作品は合わないものもあったので、余計に不安にもなるってもんです。ということで、この作品は期待よりも多少、不安が多い、そんな複雑な気持ちで読み始めました。
いや~~杞憂でしたね。読み始めたら、あの不安はなんだったんだ!?と思っちゃうくらい、一気に読んでしまいました。
2週間後に「あのバス」に強制収容?される男が、5股をかけていた女達に本当の理由を告げずそれぞれにお別れを言いに行くという、本当にトンデモナイ設定(笑)おまけに、なんで「あのバス」に連れて行かれなきゃいけないのかっていうのは一切書かれていない。なんとなーくは予想できるけど、キチンと説明されてはいない。そんな訳で、最初はホントに「はぁ?」って感じなんだけど、そこはさすが伊坂ワールド!だんだんこのお話にのめり込んでしまうと、このトンデモナイ設定が全く気にならなくなってくるんだから不思議なもんです。おまけに最初は「なんてヤツ!」と不愉快に思ってた星野に、思わず好感を持ってしまっていた自分にもビックリでした。
5人の女性は、職業も性格もバラバラ。星野の別れ話に対する反応も様々。それにしても、ここまでバラバラな女性達と、それぞれにキチンと向き合って付き合っていた星野って凄いなぁ~と感心しちゃいます。そして、別れに際しても、女性達への愛情溢れる言動の数々。自分の身近にいたらとことん避けちゃうんだろうと思える星野なのに、こういう人が自分の身近にいてくれたらいいのにな~とツイ思っちゃう。彼にはそんな不思議な魅力がありました。
まぁ、その星野の愛情溢れる言動なんですが、普通に考えたらかなり突飛な行動。「いくらなんでもそれは無理があるよねぇ~」と思える星野達の行動なんだけど、伊坂さんにかかれば「あ~出来ちゃうもんなんだな~」なんてスンナリ受け入れられるから、不思議というかなんというか・・・。まんまと伊坂マジックにヤラレちゃってる私です(笑)
ラストも良かった。いつの間にか、誰もが彼の魅力に取り込まれちゃうってことでしょうか。
キック、キック、キック・・・そんな光景が頭から離れなくなりそうです。
(2010.09.11読了)
2010年09月19日
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最後のシーンが印象的でしたね~。たしかに繭美ちゃんのキャラは強烈でしたね^^;
私も「今回の伊坂作品はどうかな~」って思いつつ読み始めました。全然杞憂でした♪
星野一彦のあの飄々とした感じが、なんとも不思議でしたね。五股なんて絶対イヤな奴のはずなんですが(^_^;)。
そして何より、あの強烈キャラの繭美を動かすんだから、すごいですよね!
一彦が〈あのバス〉に乗る羽目になった原因を知りたい気もします(笑)。あの繭美を有する組織って、どんな組織なんだろう…。
イマイチなのが続くと新刊を読む時、ドキドキですよねー^^;でも、今回はお互いに杞憂に終わって良かったですね!
そう!星野の五股なんてほんっとにイヤな奴なはずなのに、気づくといつの間にやら許せちゃってるのが不思議でしたよね~。で、最後は繭美まで動かせちゃったのが確かに凄い!
私も、〈あのバス〉に乗らなきゃいけなくなった理由を教えて貰えるなら、是非、知りたいです!