著者のデビュー作「背の眼」の続編。
ホラー作家の道尾が取材で訪れた仏像工房で遭遇した不可解な出来事、そして仏師の失踪。それらは二十年前の事件に端を発していた。友人である「真備霊現象探求所」の真備と助手の北見と共に再訪した仏像工房でその謎に立ち向かう・・・。
と、まぁそんな感じ?・・・って、実はですね、私がこうやって最初にあらすじみたいなものを書いてる時って、感想を書きあぐねているときが多いんですよね(笑)今回も何から書いていいやら困ってたり・・・。この作品、色んな意味で感想を書きにくいなー;;;
と、ウダウダ言っててもしょうがないので、ボチボチ感想を書いていこうと思います(苦笑)
前作と同じようにホラーとミステリが融合したようなお話。最初は、思いっきりホラーだったんだけど、だんだんとミステリ色が強くなってきて、読み終わって「これってホラーじゃなくてミステリだったのかっ!」と気付いたという。そういう意味では、まんまと著者にしてやられた!って感じなのかな。
真夜中、闇の中で口をあけて笑う千手観音や、血を流す仏像、そして、どこからともなく聴こえてくる不明瞭で不気味な呟き声。想像しただけで、ぞぞぞっと背筋が凍るような。もうね、特に最初の方はね、昼間の太陽の光溢れる時間帯に読みたいですね~。夜、一人の部屋で読むもんじゃありませーん。心臓バクバクで、本から眼を上げて周囲を見回すのに、それなりの勇気が必要になります。もちろん、トイレに行くにはもっと勇気が必要になります。
そんな風にかなり恐怖心を掻き立てられてドキドキしちゃったのに、蓋を開けてみればね、真相ってホントに呆気に取られるくらいのものでして。言葉の「音」の勘違いであったりとかして、「なーんだぁ、そんなことぉ;;;」とガッカリくるようなものばかり。そんなことに恐怖心を掻き立てられた私って;;;と、ちょっと凹まずにはいられないくらいでして。でも、だからこそ著者に「ヤラレター;;;」感は強いんですよねぇ。道尾さんの掌の上でまんまと転がされてしまったよ;;;と、悔しさ半分、嬉しさ半分な気持ちになりました。・・・悔しさの方が大きいかな(笑)
それにしても、工房で暮らす人々の二十年間の勘違いを思うと切なくなる。特に電話の真相には、思わず胸を締め付けられてちょっと涙腺も緩んでしまいそうになった。こういうのは、たまらないなぁ。
ということで、概ね楽しめました。・・・ちょっと負け惜しみの入った感想のような気もしないでもない(笑)このシリーズは続編も出てるようなので、早く読まなくちゃ。
(2010.09.11読了)
2010年09月16日
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Tracked: 2010-09-16 08:08
負け惜しみ的感想になっちゃいましたが(笑)、私も結構好きでした!一気に読んじゃったような感じでしたし。
べるさんのように仏像好きには堪らない作品ですね~♪
赤い血の真相…想像したらちょっと痒くなりました^^;;;