うわぁ・・・。
本を閉じてしばし絶句。放心。。。
すごい。なにこれ。どういうこと。ヤラレタ。・・・様々な言葉が頭の中を駆け巡る。単語しか出てこない。文章にならない。
雑誌「Story Seller」に発表された「Side:A」に、書き下ろし「Side:B」を加えた作品。「Side:A」は雑誌掲載時に既読。
号泣するだろうとかなり覚悟してたからか、そこまで号泣しなかった。・・・と思う。いや、したかな。・・・かなり泣いたかな。・・・泣いたような気がするなぁ。実はあんまり憶えてない。読みながらタオルを握り締めてたのは確かなんだけど、読んでる最中はどうだっけ・・・。内容の衝撃が大きすぎてちょっとうろ覚えです。
有川さんお得意の頬をカリカリと掻きたくなるような「ベタ甘」ではないのだけれど、ある意味、むちゃくちゃ「ベタ甘」なお話。作家の妻とその夫。二人の「愛」の深さが切なく痛いほど胸を突く。
「Side:A」は既読だったので免疫は出来てたハズなのに、襲ってくる感情に翻弄されまくりました。夫の作家である妻への愛。妻の夫への愛。その激しさを目の当たりして、再読なのにこれっぽっちも冷静に読めない。ぐるぐると大波に攫われてか~な~り~ズタボロにされました。
「Side:B」は「Side:A」を妻側の視点で描いてあるのかと思いきや、別物のお話になっている。最初からかる~く予想を裏切られて、そういう意味でも冒頭からがしっと鷲掴みにされて否応なしに引きずり込まれました。
「Side:A」ほどの激しさはなく、淡々と綴られていく文章。なので「Side:A」のように”翻弄される”ということはない。でも、だからこそ、胸にじわじわと迫ってくるものがありました。静かではあるけれど、お互いを想い合う夫婦の深い深い深ーーーい愛情が全体を覆っている。ある意味、こっちの方が激しいと言えるのかもしれません。
最後のページは本当の「あとがき」かと思いきや、文章の最後に物語の終わりであるという「fin.」の文字。ここまでが物語だったのか!とページを繰ると、いつもはついてる筈の有川さんの「あとがき」がない。うわぁ・・・ヤラレタ。物語だけでなく、こういう構成でまでも私を捕らえて離さない。完敗です。
しみじみと表紙を眺める。「どこまでだと思います?」そんな有川さんのセリフが聴こえたような気がした。
それからずっと、そのセリフが頭の中でこだましている。
(2010.08.22読了)
2010年08月24日
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わたしはなぜだか「どこまでだと思います?」で泣きました。
本当に、ある意味ベタ甘な物語でしたね……
ご訪問&コメントありがとうございます!
あ~それは分かります。あの言葉にはいろんな意味が込められているようで胸に残りますね。
ニマニマとはならないんですが、やっぱりこれも「ベタ甘」ですよね~。
TBありがとうございました。
こちらからもお返しいたします。
>「どこまでだと思います?」そんな有川さんのセリフが聴こえたような気がした。
これは、読んだらみんな思うはず。
・・・・・だけど、
もしも・・・・・もしもサイン会なんかで有川さんに会えたとして、
『どこまで本当なんですか?』
なんて・・・・・・聞けませんよねぇ。
こちらこそ、ご無沙汰してました。TB&コメントありがとうございます!
襟首つかんで、聞いてみたいですけどね~(笑)出来ないでしょうねぇ^^;;;
今回もこっていましたねー。そして、泣かされましたねー。
夫婦愛の美しさと激しさに、ぐらぐら揺さぶられました。
創作なんですが、どう読んでも、のろけ話に感じられてしまうという……。
有川作品の中でも、記憶に残る一冊になりそうですね。
うんうん、ホントにね。ぐらぐらだったよねー。
そして、私も「のろけか!?」と心で突っ込みながらの読書でした(笑)
衝撃度では有川作品中ぴか一☆だね。
ホント、ご本人に聞いてみたい衝動にかられますね。猫とかも(笑)
まさに「本当の愛」を見せられた気がしますね。彼女の強い意志や深い愛情に圧倒されまくりました。辛いお話でしたが、こういう風に人を愛する事が出来たという意味では、幸せな二人なんだろうな~と思えましたね。
ですよね、ですよね。
「どこまでが本当か」は作者である有川さんから、私たち読者へ投げかけられた、最大の謎でありプレゼントだと思いません?
こういう風にするっと書けてしまう有川さんは、ホントにすごいなぁ・・・と思います。
のろけ・・・(笑)。確かにのろけだ(笑)。
器の大きい人だなあ(#^.^#)。
そうですね。有川さんからの最大の謎でありプレゼントですね!この作品を読んで、ますます有川ファンになりました。ホントすごいですね。
夫婦の愛が溢れまくってる作品でしたよね。やっぱりのろけですね(笑)
Aの方が、憤りを感じてイライラしながら読んでいたので、Bの方は、言い方は変かもしれませんが、安心して読めました。
2つのまったく別の物語でしたよね。
最後の言葉は私の頭の中でもずっとこだましています。
そうか、読者への最大の謎でありプレゼントか・・・
そう考えるといいかもですね。
ただ、やっぱり気になります・・・。
大きくて深い夫婦愛を感じました。
全部が有川夫妻の事ではないと思いますが、本当に素敵なご夫婦なんだろうなと思いますよね^^
おぉ!早速、読まれたんですね~。
最後の言葉は気になりますよね~!聞いてみたい気もしますが、聞かない方がいいんでしょうね、やっぱり。
夫婦の深い愛情を感じられる作品でしたね。「お話」だとは思いつつ、有川さんご夫妻もきっと素敵なご夫婦なんだろうな~と思えますよね。
ほんと、どこまでがリアルなの!と。
すごく切ないんだけど、こんな風に互いを想いあえる夫婦っていいなあってほっこりしたり。
全体的に・・・有川さんは強くあろうとしている人なんだろうな、という印象を受けて、そんな有川さんを旦那様が支えてるんだなと切なくも幸せな気持ちになりました。
どこまでが本当なんでしょうね~。やっぱり気になりますよね。
切なさも半端なかったですが、夫婦の強い想いを感じられる作品でしたね。きっと、有川さんも旦那様とそんな関係を築かれてるんだろうなぁと思えたし、幸せな気持ちにもなれましたね。