「幻の声」に続くシリーズ2作目。連作短編集。
伊三次とお文のその後が気になって手に取ったというのに、いきなり別れがやってきてびっくりでした。でもね、すぐに元のさやに収まるんだろうと思ってたんですよね。それなのに、これがまぁ、なかなか上手くいかない。2章目に入っても、二人の関係はそのままで話が進んでいくんですもん。寄りを戻すような雰囲気なんてチラとも垣間見れない。「まさか!?」とすっごいドキドキしましたよ~!3章目でなんとか落ち着いたのでホッとしたのものの、二人が元のさやに収まった事件で、今度は不破との関係が・・・。
「捕物余話」と謳いながら、捕物よりも伊三次と周囲の人々との関わりにドキドキ。もう、ほんっとにヤキモキさせられました。信頼してた人に裏切られたという思いを抱けば、なかなかその思いを流すことはできない。信頼が厚ければ厚いほど、その思いは強くなるだろうし。おまけに江戸時代。交通手段は主に徒歩。電話もない。手紙すら、思うようには届けられなかっただろうし。一度すれ違ってしまえば、その関係を修復するのも大変だったんだろうなぁ・・・。そんなことを思いながら読んだので、余計にヤキモキしちゃいました。
ヤキモキさせられただけじゃなく、伊三次はもちろん、伊三次から拒絶されたお文と不破の心情を思うと、とっても切なかったり、しんみりしたり・・・。まぁ、個人的にはね、お文と不破の二人には事情や立場もあったと思うけど、それでも、それはちょっと・・・とか、もう少しなんとか・・・と思わずにはいられない部分もあったんですけどね。ということで、伊三次の肩を持ちながらの読書でした。とはいっても、元のさやに収まる事を願いつつでしたけど(笑)
最後にはなんとか元のさやに収まったのでホッとしました。良かったよ~。
このシリーズはかなり長く続いてるらしく、続巻が沢山出てます。「捕物」というにはちょっと弱いような気もしますが、人情味溢れる物語でモロ私の好み(笑)ということで、これからぼちぼち読破していきたいと思っています。
・紫紺のつばめ
・ひで
・菜の花の戦ぐ岸辺
・鳥瞰図
・摩利支天横丁の月
(2010.07.04読了)
2010年07月08日
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