資産家の娘だけが入学できる学校で出会った4人の少女達。閉ざされた空間で過ごす日々・・・。
うわ~もうね、こう書いただけでゾクゾクします~!宮木さん独特の世界にどーっぷりとはまり込んで、息を詰めて夢中になって貪り読みました。
職場の貸本ルートから回ってきた本。気づくとすんごい山となっていました(笑)この山を取り崩すのは、図書館休館中の今しかない!と必死で読みまくり中です。
いや~ホントにたまらなーい!って感じでした。宮木さんの描く、美しく儚く切なく哀しい世界。ドキドキして、心臓をぎゅぅーーっと掴まれて、切なさに身を捩る。そんなに厚い本ではなかったんですが、分厚い本を読んだのと同じくらいの気力を使ったような気がします。「使った」というより「使い果たした」って言った方が正しいかな。
一見、自由を満喫できそうでありながら、社会情勢とは切り離され、電話は盗聴され、届く荷物は検閲される。そんなところに4年間、少女達は閉じ込められる。途中で出られるのは、家の「駒」として使われる時だけ。
高校生だと思っていた少女達だったんですが、実は大学生だったのにはちょっと驚きもありました。でもたしかに、高校卒業したてっていうのは、ちょうど子供から大人へと変わる時期で、それも子供よりも大人に近い頃。独特の精神状態、不安定さはあるのかもしれませんね。
そんな彼女達の、ギリギリなところで辛うじて踏みとどまってるような危うさ、不安定さ。こちらまでバランスを崩してしまいそうになりながらも、先が気になって読むのを止められない。あまりのドキドキに息が詰まりそうで、時々は深い深呼吸を入れないと本当に呼吸困難になりそうでした。こういうの好きなんですよね~。クセになりそうです。
と、大絶賛で、本当にすっごい良かったんですが、実を言うとラストはちょっと不満。
あ、ネタバレです。未読の方はご注意を!
最後、なんで都岡は戻ってきちゃったんですかーっ!ホント、あれを読んだ時には「あ~;;;都岡ぁぁぁ;;;」って感じだった。私的には、都岡よりも三島が壊れていく・・・ってのが良かったな~と思ったんだけどなぁ。って、本当に個人的な好みからの発言なんだけど(笑)おまけに、なーんて残酷なことを言ってるんだ!とは思うんだけど・・・。。でも、なんだかね、三島に関して”救いのラスト”っていうのはシックリこないような気が・・・。
(2010.06.08読了)
2010年06月12日
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『雨の塔』/宮木あや子 ◎
Excerpt: 家や一族の企業のために「使われ」る、妾腹の娘や訳ありな娘たちが集められている、全寮制女子学校。大学に当たるその四年間、全く外へ出ることが出来ず情報からも隔離される、陸の孤島。そこで出会った4人の娘たち..
Weblog: 蒼のほとりで書に溺れ。
Tracked: 2010-06-12 22:39
狂おしいまでに透明な孤独、切なさが迫ってきて、胸が痛かったですね。
宮木さんの作品のままならぬ感情の息苦しさは、ホントにたまりません!
都岡が戻ってきたのは・・・なんだか三島と都岡の世界が2人で完結してしまう感じがしました。
ある意味、救いのような、救いではないような・・・。
ホント、孤独や切なさが迫ってきて、息苦しい…そんな作品でした。宮木さん、クセになりそうです。
そうなんですよね。都岡が戻ったことで三島と都岡共に救いがなくなってしまったと思います。が!私的には三島一人で…ってのがどちらかというと好みで…^^;