2010年03月21日

南の子供が夜いくところ(恒川光太郎)

・・・あり?なんだかちょっと・・・ねぇ;;;

と、そんなことを思った連作短編集でした。舞台が日本ではなく、南の島だったからでしょうか。なんというかですね、あの独特の雰囲気を醸し出していた「恒川ワールド」っていうものが薄れちゃったような、そんな印象の作品でした。

南の島を舞台に紡がれる不思議な物語。それぞれの作品は、それぞれ面白かったりもしたんですが、「恒川作品」という目で見ると、うーーん;;;と唸らずにはいられない。あの、美しく、どことなく物悲しさを感じるような作風が影を潜め、「堪能した」という言葉は使えない作品となっていました。そう言う意味では期待はずれというかですね、残念だなー;;;と思っちゃいます。あの独特の世界を堪能したかった。堪能し尽くしたかった。

ユナという不思議な女性を軸に、いくつもの時代の物語を描いていく。連作短編集といいつつ、作風というかジャンルがそれぞれ違っていて、連作集ではあるんだけど、単独の短編を読んでるような印象を受けました。なので、好きなものもあり、ちょっと合わないなーというものもあり。特に最後のお話はちょっと・・・;;;

あ、そのお話でお父さんは分かったけど、お母さんはどうなったんでしょうね?気になってみたり。そして、最初で語られたタカシは数年後の姿だと思うんだけど、そこに到るまでのお話がなくって、そこも残念だったなー。最後まで読んでも、最初に繋がらないんだもん。あのプロローグの意味はなんだったんでしょね。

と、ちょっと辛口気味な感想になっちゃいました。私的にはちょっと期待はずれだったんですもん。しょうがないかな。次作では、またあの美しく、物悲しい恒川ワールドを堪能できる事を期待したいです。



・南の子供が夜いくところ
・紫焔樹の島
・十字路のピンクの廟
・雲の眠る海
・蛸漁師
・まどろみのティユルさん
・夜の果樹園


(2010.03.20読了)



南の子供が夜いくところ
角川書店(角川グループパブリッシング)
恒川 光太郎

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ラベル:著者(た) 読書
posted by すずな at 15:04| Comment(6) | TrackBack(4) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
うんうんうん、と何度も頷いてしまう記事でした。私も独特の恒川ワールドが薄まってしまって残念に思いました。連作形式の割に、作風にバラツキがあるせいで散漫な印象がありましたし。『紫焔樹~』なんかは非常に好みの話だったのですが。私もラストのフルーツのやつはシュール過ぎて好きになれなかったです。こういう短編集なら恩田さんとか他に書き手がいくらでもいるし、恒川さんにはもっと独自のカラーで勝負してして欲しいな、と思ってしまいました(黒べ)。
Posted by べる at 2010年03月22日 08:31
>べるさん
そうなんですよー。恒川ワールドを堪能できなくって残念な作品でしたよね;;;連作集という割りには作風もばらばらでまとまりがないっていうか・・・。
期待が大きかった分、ガッカリ度も大きかったですね^^;
Posted by すずな at 2010年03月23日 05:27
すずなさん、こんばんは(^^)。
うわ~、全く同じです。
あの郷愁が感じられなくて、残念でした。
お父さんはともかく、お母さんはどうなったんでしょうねぇ・・・。
もしかして続巻があるのかしらんという気もしますが、出来ればあの物悲しくも美しい世界を読みたいですね~。
Posted by 水無月・R at 2010年12月03日 22:15
>水無月・Rさん
今までの恒川作品とはちょっと趣が違ってましたよね。それも、残念な方に…^^;
そうそう!お母さんがどうなったのか気になりますよね~。ちょっとでもいいから触れてほしかったですね。
続編ですかぁ…。そう言われるとありそうな気もしますが、でも、それを手に取るかどうかが…^^;;;
最近、短編集が出たんですが、こっちはおススメですよ!落ち着かれたら、ぜひ、お手にとって見てくださいね~。
Posted by すずな at 2010年12月04日 12:39
皆さん 辛口な感じで 笑 僕にとっては久しぶりの恒川氏、異界風との決別的な感じが案外良かったです。
Posted by yori at 2014年03月13日 22:47
>yoriさん
なるほどー!
私的には、ちょっと・・・と思える作品でした。それまでの恒川作品と趣が違ってて戸惑った部分もあったとは思うんですけどね^_^;
Posted by すずな at 2014年03月14日 12:49
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