2009年06月08日

極北クレイマー(海堂尊)

うーん、うーーーーん。
・・・思わず唸っちゃいます;;;

ということで、めっちゃ辛口感想ですので、お気をつけ下され。


さすがに「イノセント・ゲリラの祝祭」ほどではないけれど、この作品も「小説」としてはどうなの?と思わずにはいられない。「地域医療」「産科医療」と、今の医療で問題になっていることを取り上げた作品で、著者の言いたいことは良ぉーく分かる。分かるんだけど、だけどさぁ・・・;;;と、言いたくなる気持ちを押さえられない。

結構、面白かったんですよね。潰れかけた市民病院に赴任した外科医の視点で描かれるこの作品。医師や看護師として熱意を失った職員。その中で、使命感を持って取り組む産科医。そして、その産科医に降りかかる医療ミス問題。そこへお馴染の姫宮が登場して、引っ掻き回して、あっさり退場とか(笑)どうなるの?どうなるの!?とヤキモキしたり、ウハウハと笑ったりと楽しめたんですよ~。「お!前作は暴走気味だったけど、今作では大丈夫そうねぇ。良かったよ~」と安心してたんですが・・・。

読み進むうちに、残りページに不安を憶え始め、そこら辺からだんだんと・・・;;;私は医療問題を扱った「小説」が読みたいんですっ!!著者にとって、「小説」を書くというのは「問題提起」とか「実情暴露」とかが第一の目的なんでしょうが、「小説」として発表するのであれば、きちんと「小説」としての面白さだとか、それなりの結末だとかを盛り込んで欲しい。市民病院の再建や産科医逮捕後のこととか、色んな問題がほったらかしのまま終わってるのはどうなんでしょう。これが「前編」とか「第一巻」というなら分かる。でも、これを「一つの完結した作品」という括りにはして欲しくないと思っちゃいます。現状の医療から鑑みると、問題は解決していないとは思いますが、現実には現実の結末があり、小説には小説の結末があるんではないでしょうか。だからこそ「小説」は「小説」として成り立っているんではないのかな、と思います。

と、中途半端で終わらされたモヤモヤ感をぶつけるように、言いたい放題を書き連ねちゃいましたが;;;

著者の全作を読んでる読者としては、お約束通り、あの作品のあの人とか、うわ、ここであの人登場ですか!とか、え?あの人はこれだけ;;;とか、他作品とのリンクを楽しめた作品ではありました。ただ、どれもこれもちょっとだけの登場だったのは残念でしたけどね。みーんなが一堂に会する作品ってのも読んでみたいような気もするけど、そうするとまたしても中途半端な作品になっちゃって、私が吠えるような気もするしなぁ・・・(笑)




極北クレイマー
朝日新聞出版
海堂 尊

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ラベル:読書 著者(か)
posted by すずな at 05:39| Comment(5) | TrackBack(7) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
すずなさん、こんばんは(^^)。
海堂さん、最近ちょっと・・・という気もしますよねぇ(^_^;)。
単独のエンターテイメントとしては、ちょっと評価しづらかったですね。
なんか最近「以下次号を待て!」的な展開が多いので、ちょっと不満です、私も。
スカッとする展開の、怒涛の大乱戦を期待したいですね~。もちろん、物語としての決着も。
Posted by 水無月・R at 2009年06月08日 22:40
>医療問題を扱った「小説」が読みたいんですっ!!
 まったくもって同感です。次の海堂作品は、よほどのことがない限り多分読まないと思います。
Posted by higeru at 2009年06月09日 00:02
>水無月・Rさん
またしてもすっごい辛口になってしまいました^^;
でも、本当に「以下次号!」なのが続いているので、不満がどうしても…。次作こそは、スカッとする展開&ラストを期待したいですね~!

>higeruさん
あ~同じ思いの方がここにも!
私は「今度こそは!」と願いつつ手に取ってしまうんだろうなぁ~と思います^^;
Posted by すずな at 2009年06月11日 13:33
なんか、マンネリ化のような…
話しは面白いんだけど、もうちょっと問題を絞ってほしかったです(>_<)
Posted by じゅずじ at 2009年06月19日 00:04
>じゅずじさん
そうですね、ホントに・・・。
現実で問題が山積してるのはわかるんですが、小説ではそこらへんを上手く描いて欲しかったと思ってしまいます。
Posted by すずな at 2009年06月20日 07:00
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