第3回鮎川哲也賞受賞作。
再読。今年初めに「ななつのこものがたり」を読んで、近いうちに絶対、読み直すぞーっ!と誓った本書。自分でもとっても意外なんですが、その機会がこんなに早く巡ってきました~(笑)シリーズ3作目の「スペース」が文庫化されて、おまけに只今、図書館の蔵書整理期間。このタイミングを逃すなーっ!と、頑張ってみました。
再読なんだけど、内容は本当にうろ覚えでして。でも、読み始めると思い出すもんなんですねぇ。あ~たしかこれは、こうなって、こうなったハズ・・・と、記憶の底かポツポツと浮かび上がってくるものがありました。でも、それがこの作品の魅力を半減させるものではないのです。駒子が遭遇する謎。それを駒子のお気に入りの絵本とリンクさせ、そして、駒子が遭遇した謎を手紙を読んだだけで解決しちゃう作家の綾乃さん。駒子が遭遇する謎と、絵本の中で主人公のはやとが遭遇する謎。二つのミステリを同時に読めるという、不思議な贅沢な感覚。このデビュー作とは思えない構成もすばらしい。
7つのお話が収められていますが、特に好きだったのは「一万二千年後のヴェガ」と「白いタンポポ」かな。「一万二千年後の~」では、夜中にふわりと浮かび上がって、悠々と空中散歩を楽しむブロントサウルスを想像して、ワクワクにんま~りしちゃいました。それとは対照的に切ない気持ちになったのが「白いタンポポ」。駒子とまゆちゃんの間に流れる、優しく暖かな思い。そして、綾乃さんの手紙で明かされる「白いタンポポ」の真相。ちょっと泣けちゃいます。
この作品は連作短編集という形になっているんですが、最後の章ではそれが一つの物語、謎解きとして繋がっていくんですよね。本当にえぇっ!?という展開が待っていて、驚きと同時に嬉しさが(ちょっとの悲しさもありますが)こみ上げてきました。実は、最後のこのすんごい展開をしっかり失念しておりました;;;お陰で、意外な展開にまたまた驚く事が出来たので良かったのだ、ということで(笑)
決して穏やかなだけのお話ばかりはなかったんだけど、読み終わるとほっこりと温かい気持ちで満たされる作品です。
2009年06月15日
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Weblog: まったり読書日記
Tracked: 2009-06-30 21:47
そうそう!駒子の遭遇する謎と絵本の謎のリンクが絶妙で楽しませてもらえましたね!
最後は本当にビックリのサプラズでしたけど(^.^)
「白いタンポポ」は良い作品でしたよね♪