直木賞受賞作。
あれれれ~?なんだかちょっと・・・な作品でした。直木賞ということで期待が大きすぎたのか、受賞作としてはインパクトがちょっと弱いような気がします。もちろん面白かったんですよ。面白かったんだけど、でも受賞作ならもうちょっと・・・と思わずにはいられないような、そんな読後感でした。
千利休の切腹当日からだんだんと時を遡って描かれる連作短編集のような構成。この構成自体は良かったです。利休だけでなく、利休と関わった人々の目線で、その時々が描かれていく。歴史小説のようでありながら、ミステリ仕立てのような印象で、利休が何に拘って茶の湯を極めたのか、少しずつ詳らかにされていく。
核となるのは「緑釉の香合」。その小さな器を巡る人々の思い、利休の思い。読み進めていけばいく程に、実際に目にしたい!という思いが湧きあがってきました。それが、この作品を映像で見てみたいという思いにまで到った一因のような気がします。そうなんです。私にしては珍しく、読みながら「この作品を映像で観たい」と、思ったんですよねぇ。緑釉の香合もですが、一輪の花が表す情感。体感してみたいものです。でも、”一輪の花が表す情感”を表現するのはとっても難しそうではあるけれど・・・。
利休の運命を変えた緑釉の香合。この器の元持ち主との切なく哀しい恋。そして、器の最後。納得のラストでした。
でも、もうちょっと何か・・・と思わずにはいられない。うーん、惜しい。
2009年02月28日
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