ふーぅ。
読み終わって、深く深呼吸。圧倒的な文字の力に、魂を奪われたように貪り読んだ。読み応えがありました。ん~凄いです。1作毎に面白さが増していくのが分かる桜庭作品。どんどん好きになっていく。桜庭ワールドに囚われて抜け出せない。そんな気分になりました。
二部構成になっていて、一部は母と娘の逃避行、二部は母を失った後、娘が家族を得るまでのお話。
一部の旅の様子は、読みながらざわざわとざらざらと心が騒ぎっぱなしでした。母娘の歪み、憎しみ、哀しみに自分が侵食されていくようで。止めたいのに、先を読むのを止められない。母娘の関係って、多かれ少なかれこういうものなんだろう、と思ったり。最後は、ちょっと唐突で、呆気なさ過ぎて、「えぇっ!?」と思わずにはいられなかったけど。でも、人生ってそういうものなんだろうとも思える。大事な事って、唐突で呆気なく訪れて去っていくものだよなぁ・・・。
二部は、全く予想外の展開でした。え?まさか!うわ、そうくるのかっ!?と驚いた。お陰で、ますます目が離せなくなって、色んなことをそっちのけで読み耽ってしまったのでした。なんだか、ある意味、桜庭さんの自叙伝的な物語という印象も受けたり。文章を生み出す過程というか、そういうところに関しては、だけど。母との逃避行で、「普通の」人生を歩めなかった、家庭を築けなかった娘が、最後は危なっかしくはあるものの「普通の」人生を歩んで、家庭を築いていく。一部を読んでる間中、騒いでいた心が、この二部でいつの間にやら凪いでいました。
ん~なんというかですね、いつものことなんだけど、この気持ちを上手く言葉に出来ない自分がもどかしい。でも、とにかく、とっても面白かった!桜庭ワールドを堪能させてもらいました。
そうそう。本好きにとっては、別な意味でも心躍る作品であったと思います。色んな作品がチラリチラリと顔を出しました。ファンタージェンという言葉には思わず歓声をあげてしまったり。
2009年01月06日
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どろどろしてて、陰鬱で気が滅入るような展開の連続だったけど、読む手が止められなかったです。桜庭さんの文章、どんどん上手くなって行ってる気がしますね。この圧倒的な世界観の構築はさすがだと思います。第一部と第二部では別の作品のように印象が変わってしまうので少し戸惑ったのですが、それもコマコという人物の数奇な人生ならではなんでしょうね。桜庭一樹独特の世界を堪能した一冊でした。
こちらこそ、今年もどうぞ宜しくお願いしますね。なかなかタイミングが合わず、ご挨拶が遅れてすみません;;;
あまりのどろどろさに「読みたくない」と思いつつ、先を読むのを止められなかったですね。
本当に、1作毎に桜庭さんの文章が上手くなっているような気がします。ますます好きになりました。
第一部と第二部で印象が変わって、戸惑いつつもやはり読むのを止められなくて・・・。桜庭ワールドを堪能させてもらいました。
私も第1部はちょっと、読むのが辛かったです。
第2部に入り、文学という荒野で、我が身を抉りながらも物語ることを身につけていったコマコの物語になって、少し落ち着いて読めました。
ラストの1節に、出来れば「母」となったコマコの立ちあがる文章付け加えてほしかった・・・というのは「母」である私のエゴでしょうか。
第一部は読むのに気力を使いますよねぇ;;;第二部になると、ずいぶんと読みやすくなってホッとしました。
母となったコマコまで!というのは、娘という立場の読み手だからか感じなかった思いです。でも、エゴではないと思いますよ~。「母」であるからこそ、湧き上がった願いなのではないでしょうか。
全部読み終えて、ふぅと脱力感がありました。
桜庭作品は言葉では上手く言い表せないですよね。
お気持ちわかります。
第1部を読んでいて、どうなるんだろうと心配に鳴りましたが、第2部では本当に少しずつですけどコマコが変わっていくのが分かりました。
最後の最後、人並みの幸せをコマコなりに感じる事ができて、良かったなぁと思います。
読了後は「はぁ~終わったぁ」と脱力しちゃいましたね。
第一部では重苦しかった空気が、第二部ではだんだんと薄れてきて、最後はちょっとホッと出来るラストで良かったですよね。