2008年11月11日

空へ向かう花(小路幸也)

タオル片手に、ぐしょぐしょに泣きまくってしまいました;;;
それも、夜中だよ。おまけに、次の日は仕事・・・。泣きながら、「ヤバイ!明日は絶対に目(瞼)が腫れてるよぉ;;;」と内心で思いはしたんだけど、涙を止められないんだもん。しょうがないよなーと開き直って読んだ。でも、読了後と次の日の朝、必死に蒸しタオルを目にあて、無駄な努力をしている私がいましたとさ(笑)

こういう事故は起こる。起こってしまう。新聞やTVのニュースでこんな事故を見つけると、どうにも堪らない気持ちになります。それが、小学生とかの子供だったら余計に・・・。

不幸な事故で当事者となってしまったハルと、その事故で親友を亡くしたカホ。偶然、出会った二人。その二人を見守る大人達。ハルの自責の念、自分は生きてちゃいけないんだと思い悩む姿は、”切ない”という言葉では言い足りない。そして、父親から虐待を受け、母親は失踪し、古いビルに祖父と二人で暮らすカホ。すごい女の子だ。強いなぁ、本当に。それが、過酷な境遇故だとは思いたくないけど、その境遇がカホを大人にさせたのも事実だし。そういうことを考えるとちょっと複雑。だから、二人を見守る伊崎原と桔平の存在にすごくホッとさせられた。親の前で子供でいられない彼らは、伊崎原と桔平の前では”子供”でいられる唯一の場所だったんだろうなぁ。

二人の子供達は、カホの住むビルの屋上に庭園を造り始める。亡くなった由希菜ちゃんを想いながら・・・。庭園ですか!という感じで、もう、泣くなというのが無理。最後は予想通りの展開になりましたが、空に向かって咲き誇る花々やその世話をする子供たちの姿が想像出来て、ほっと胸を撫で下ろすラストでした。

それにしても、伊崎原さんはどんな過去を持っているんでしょう。いつか、その物語を読める日がくるんでしょうか・・・。

もし、自分がハルと同じ状況に陥ったら・・・。やっぱり、みんなが「事故だ」って言ったって、「自分が殺した」って気持ちは消えないと思う。自分ではどうしようもなかったことではあるけど、それでも自分のせいで・・・と思わずにはいられないだろうなぁ。だから、ハルの気持ちも分かるし、誰かのセイにしたい由希菜ちゃんの家族の気持ちも分かる。でも、やっぱり事故なんだよ。誰も責められはしない・・・。



空へ向かう花
講談社
小路 幸也

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ラベル:読書 著者(さ)
posted by すずな at 13:40| Comment(6) | TrackBack(5) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あったかい物語でしたね。イザさんとキッペイサンが、二人に接する様子がとっても良かったです。子どもが子どもらしくいられる場所を二人に与えてくれてありがとう!と思っちゃいました。
Posted by エビノート at 2008年11月19日 20:16
>エビノートさん
辛い事故が根底にありましたが、希望を感じさせるあったかいお話でしたね。イザさんとキッペイさんの二人の存在が良かったですね~。私も読みながら「ありがとう!」という気持ちでいっぱいでした。
Posted by すずな@主 at 2008年11月21日 14:49
こんばんは。子供が背負うには重すぎる罪でしたが、それを克服しようと健気に頑張る姿にじーんとしてしまいました。屋上庭園を造る4人、それぞれ素敵なキャラでしたね~。小路さんの中でも印象的な作品になりました。TBさせて頂きますね。
Posted by べる at 2008年11月22日 23:58
>べるさん
健気な姿にじーんとしましたねぇ。子供が頑張る話には弱くって(T_T)
子供達も、それを見守る大人達も素敵な4人でしたね。
Posted by すずな@主 at 2008年11月24日 14:43
辛い物語なんだけど暖かい。
人生って、まんざら悪くない。
まさに小路幸也さんの真骨頂ですね。
ほんのりとした感動に浸れて
とっても良かったです!
Posted by yori at 2011年12月02日 12:32
>yoriさん
「辛い物語なんだけど暖かい」本当にその通りの作品でしたね。
号泣しながら読んだんですが、すごく素敵な物語でした。
Posted by すずな at 2011年12月03日 12:43
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