守り人シリーズ第4作。上下巻の上巻にあたるのがこの作品。
外伝を入れると第5作になるんだけど、4作目ってことでいいのかな、こういう場合どうやって数えればいいのかな・・・とか、ちょっと悩んでみたり(笑)
今回は新ヨゴ皇国の西に位置するロタ王国の物語。こうやって、1作ずつ新ヨゴ皇国の周りの国を描いていってこの世界が読者の中で少しずつ構築されていく。そういうところは「グイン・サーガ」(栗本薫)とも似ているような。もちろん、内容は全く違っているけどね(笑)ロタの王様が「来年早そうに、サンガル王家の即位式がある可能性が高い」(p110)と話しているので、時期的には前作の外伝「虚空の旅人」のちょっと前くらいになるのかな。
またしても子供が守り人に選ばれ、大人に命を狙われる。そして、その子供をバルサやタンダが助けるという、いつものパターン。なんだけど!!どうして、毎回々、うんざりせず新鮮な気持ちで読めるんでしょうね。作者の筆力なんでしょうか。いつの間にか、物語の世界にどっぷりと浸り込み、ワクワクドキドキしながら夢中で読んだ。
なかでも印象的だったのは、同じ事柄が立場によって全く違った風に語り継がれているということ。一方では”恐怖の力”として語り継がれ、一方では”神聖な力”として語り継がれている。ふと、ある言葉を思い出した。某国営放送「篤姫」の中で使われた言葉「一方を聞いて沙汰するな」。みんな、意識してなくても、つい自分の都合のいいように物事を語ってしまう。無意識でもやってしまうから、しょうがない部分もあると思う。だからこそ、何かを判断するときは、一方だけでなくどちらからも話を聞く、2方向から見て考えることが大事なんだな~と、改めて感じました。
二人の兄妹はどんな運命を辿るのでしょう。真実の歴史とはどんなものなんでしょう。そして、バルサとタンダはどう判断してどう動くのでしょう。・・・もぅねーっ!次巻が待ち遠しくってしょうがないです(笑)
【守り人シリーズ】
**精霊の守り人
**闇の守り人
**夢の守り人
**虚空の旅人
**神の守り人 来訪編<本書>
**神の守り人 帰還編
**蒼路の旅人
**天と地の守り人 第一部
2008年10月10日
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神の守り人(上):来訪編
Excerpt: 上橋菜穂子 2008(軽装版) 偕成社 バルサとタンダの仲が、ほんの少し進展し
Weblog: 香桑の読書室
Tracked: 2008-10-24 10:22
確かに、パターンは一緒なんだけれども、めぐり合い方も、巡り合ってからの展開にしても、まるっきり新しいものとして表れてくる感じ。舞台もどんどん変わるから、読者の想像の世界も広がって行くし。
複雑に込み入った世界の構築、あまりにも容赦のない大人の事情、読み応え十分でした。
パターンが一緒なのに「またぁ;;;」と思わせないところが凄いよね~。毎回、のめり込むように読んじゃう。で、大満足で読了できるのが嬉しいね♪
子供のものだけにしとくのは本当にもったいない物語だよね!