職場の貸本ルートから回ってきた本。それも、「これ、シリーズ物みたいで、この前があるみたい;;;でも、大丈夫だと・・・」という但書付で(笑)
連作短編集。面白かった。がんがんと大事件を解決するような派手さはないけど、私ってばこういうのも結構、好きらしい。同僚の但書通り、前作があるみたいだったけど、問題なく読めたのも良かった。
話を聞いただけで、真相をズバリと言い当て解決していくという安楽椅子探偵物ですね。その真相解明がねぇ!すっごいのよ。腕貫さんの頭の中をじっくり検分したひ、という誘惑に駆られます。特に最初の「体験の後」なんて、「殺人事件が・・・」と言われたときには、「・・・はぁっ!?」と思わず声がでちゃったくらいビックリした。私がその場にいたら「な、な、なななななんでそうなるのっ!?」と、絶対に腕貫さんに詰め寄っていたはず(笑)
お話ごとに語り手が変わるのもいいですね。登場人物が少しずつリンクしてるもの面白い。お陰で、腕貫さんよりもすっかりユリエちゃんファンになってしまった!カッコイイっ!絵梨子さんじゃないけど、潤んだ瞳で見つめたい気分(嘘)残念だったのは、真緒ちゃん語りでの事件がなかったことかな。彼女の語りって、ちょっと面白そうなんだけどなぁ。次巻が出ないかなー。
どのお話も甲乙付けがたくって、どれが一番好き!って選べない。
・体験の後
初読みならではで、腕貫さんの推理にメロメロにやられちゃってインパクトが強い。メインは別のところで起こってるってのも意外性があって、一気に引き込まれた。
・雪のなかの、ひとりとふたり
なんとなーくおぼろげながら想像できるものの、私のツメが甘くってズバリと当てられなくって悔しかった。ユリエさんがメインで登場したのも意外で嬉しかった。
・夢の通い路
見知らぬ写真から、過去の事件に繋がっていく。友人に対する嫉妬に駆られてなのかと思いきや、親に対してだったのも「おっと、びっくり!そっちか!」と。
・青い空が落ちる
面白かったのはこれが一番かなぁ。面白かったというか愉快という言葉がぴったりかな。この女性の心理はなんか分かるよ!と思う。もし誰かが、私にも「趣味」でやってくれたら・・・。たぶん、本屋で大人買いしちゃうんだろうなぁ、なんて思うんだけど。どうかな。自分のことを想像するだけでもワクワクするなぁ(笑)
・流血のロミオ
これも、意外な真相。まさかそっちとはっ!と唸ったお話。そして、これが一番、悪意というかズルさというか、そんなものを感じたお話でしたねぇ。女って怖えぇーっ;;;と呟きたくなるような。まぁ、結局は自業自得の結果になっちゃったんだけど。
・人生、いろいろ
これ、実は唯一、真相を当てられたお話でした(喜)でも、まさか最後にそんなオチがついてくるとは!最後にそんなオチを持ってくるなんて、西澤さんってばずるいよーっ!と口を尖らせて抗議したい(笑)まぁ、楽しませてもらったけどさ。
腕貫さんの推理だけではなく、美味しそうな通のお料理がたんまり出てくるところも魅力的。というか、危険度大!絶対に夜中に読んではいけません。お腹がぐるぐる鳴りそうでした(笑)
さ、この前作を読まなくちゃ。
2008年10月18日
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西澤保彦/「腕貫探偵 残業中」/実業之日本社刊
Excerpt: 西澤保彦さんの「腕貫探偵 残業中」。 櫃洗市にあるカフェレストラン < てあとろ > に突然三人組の強盗が押し入ってきた。そのうちの 一人はこの店の元・従業員で、間近に迫った改装資金を出..
Weblog: ミステリ読書録
Tracked: 2008-10-19 09:08
自分の記事で『流血~』の真相は中学生だとあり得そうにない、と書いてしまったのですが、ちょうど昨日のニュースで中学生が起こしたある事故の報道を見ていて、この作品の中学生のことを思い出していました。面白半分で○○してみたい年頃なんだと気付かされました。
早速、前作を図書館から借りてきました!ファンタジックですか~。ちょっと楽しみでもあり、不安でもありって感じでしょうか^^;
私もその中学生の事件のニュースを見て、「流血~」を思い出しました。事実は小説よりも・・・とはよく言ったもんですね。実際にああいう事件は起こって欲しくないですけどね;;;