2008年09月29日

初恋素描帖(豊島ミホ)

中学2年生の恋を描いた連作短編集。

2年2組という1クラスの生徒達20人の恋模様。面白い試みだなーと思いつつ、表紙を捲ると出席簿が目次になっていた。おぉーっ、こういう趣向はなかなか好き。よーく見ると、このクラスは35人。お話は20話。・・・全員じゃないのかぁ;;;そこはちょっと残念でした。まぁ、35人全員分の恋を描くのは大変だろうけどね。

豊島さんらしい恋模様。ドキドキして甘酸っぱさを感じるものの、痛かったり、苦かったり、切なかったり・・・。でも、なんだかちょっと物足りないような、そんな印象です。うーん、なんでだろ?

20人の恋模様。見つめるだけだったり、誰かを想う姿を眺めているしかなかったり、想い合っていたり、その想い合う二人を見ていなきゃいけなかったり、同性への想いを抱えていたり・・・。本当に色んな恋があるよなぁ、と改めて思う。まだまだ未熟な想いだったりして、自分でその気持ちを持て余してしまうことも多い。あ~、そんな想いを私も抱えていたこともあったなぁ・・・と、懐かしく思い出したりもして。いつもながら、豊島マジックにかけられて、ぎゅぅぅぅっと胃を絞られたような心地にもなりました。

恋模様を描きながら、クラスの人間模様も描かれる。中学生って、もう随分と前のことになるのに、つい自分の中学2年生の頃を思い返してみたり。・・・思い出したくないことまで思い出して、オロオロしてみたりもして(笑)まぁ、もうそれも時効だよね。そろそろ”良い思い出”に分類したいなぁと、そんなことを思った。そう思えるようになった自分にびっくり。

描かれなかった15人の子ども達は、どんな想いを抱えているのだろう。読みたいなぁ。いつか描いてくれるといいなぁ。


初恋素描帖 (ダ・ヴィンチブックス)
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豊島ミホ

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ラベル:著者(た) 読書
posted by すずな at 13:56| Comment(4) | TrackBack(3) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
中学2年生っていうのがまた一番中学生らしい一瞬を切り取れた感じでよかったですね。1年生だとまだ小学生に片足を突っ込んだ感じだし、3年生だと受験を意識しちゃってるだろうし。ああ、でもこの話に登場した20人が3年生になったときどんなことに悩んでいるのか読んでみたい気もします。描かれなかった15人の話ももちろん大いに気になるけれども。
Posted by エビノート at 2008年10月31日 20:08
>エビノートさん
そうですね。たしかに”中学生”を描くには、2年生という学年が一番”らしい”のかもしれませんね。
うわー!描かれなかった15人のお話も、3年生になった時のお話もどっちも読みたいです~!続編、書いて欲しいですね。
Posted by すずな@主 at 2008年11月01日 15:39
この本の一番うしろんとこに、豊島さんの中二時代エピソードが書いてあってその哀しさもまたなんともいえない感じでした……ああぁ、こういう経験したからこういう作品が書けるのかな?とか思ってみたりして。
Posted by 麻巳美(まみみ) at 2008年11月02日 21:29
>麻巳美(まみみ)さん
豊島さんの作品は、この作品もですが高校生を描いた作品もリアリティがあるというか、自分の”あの頃”を思い出さずにはいられません。自身が似たような経験をされてるからこそ、描けるお話なのかもしれませんね・・・。
Posted by すずな@主 at 2008年11月03日 11:55
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