2008年09月20日

おそろし 三島屋変調百物語事始(宮部みゆき)

久々の宮部さん。実は宮部さんは大好きなんですが、大人気作家さんだけあって図書館でもなかなか巡り合えない。予約しようと思うと、すんごい予約数にゲンナリして申込を躊躇してしまう。そんな訳で、ここ近年、宮部作品はなかなか手にしてなかったんですよねぇ。これは早めに予約を入れられたので、なんとか手元に届きました。
で。・・・もっと、他の作品も読もう!やっぱ、宮部さんって好きだわーっ!と拳を握り締めて誓うことになりましたとさ(笑)

ということで、夢中で読んだ。でも、面白かったとか楽しかった訳ではない。ぞわぞわぞくぞくぞわわわわっと背筋に冷風を感じ、苦い切ないやりきれない想いで胸を一杯にしました。そして、涙しました。

ちかに起こった事件と、ちかが三島屋の一間で聞く怪しく不思議な百物語。どのお話も、切なく苦々しさを伴うものばかり。人の気持ちというのは、理性ではどうにもならないものなのだ。そして、人はやっぱりどこかで、利己的なのだ。分かっていても、そうなりたくないと思っていても、フトした瞬間にぐらりと揺れたりするものなのだ。だから、人はみな”後悔”という言葉を知っているのだ。

・・・と、なんだか私らしくもない文章になってしまったような気がしますねぇ(苦笑)

「曼珠沙華」「凶宅」「邪恋」「魔鏡」そして、それまでのお話を昇華させるような「家鳴り」と続く。実は私って、ホラーを読んだら夜、トイレに行けない人なんです;;;そんな私が夜、一人の部屋で百物語を読む。もうねぇ、章が進む毎にぞくぞく感が増していくもんだから、タイトル通りまさに「恐ろし」だよーぅ。うへー夜中にこんなん読むもんじゃないよぉーぅ!と呟きながらの読書になりました。だからって、宮部マジックに囚われてしまったからには最後まで読むのをやめられず。途中でフト顔を上げたら、だれだか知らない人とカチリと眼が合っちゃいそうで顔は上げられないし。いつもと違った意味で、緊張感のある読書でした(笑)

このお話は続編が出そうですね。タイトルが”事始”ってなってるし、良助さんは全く登場してないし、あの番頭さんの意味ありげな感じからしても、ちかをそうそう見逃してはくれそうにないし。なんたって、あのお屋敷の正体というか、”凶宅”になってしまった理由ってのが分からないままですもん。ハッキリさせて欲しいわー。じゃないとなんだか安心して寝てられないって気分なんですけど。

読み終わったのは日付が変わるちょっと前。鏡台からはびみょーに視線を外し、爆睡中だった愛猫を強引に私の布団に引きずり込んで眠りに付いたのでした。昼間はともかく、夜は鏡を覗けなくなりそうなんですけどぉ・・・。



おそろし 三島屋変調百物語事始
角川グループパブリッシング
宮部 みゆき

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ラベル:読書 著者(ま)
posted by すずな at 13:35| Comment(6) | TrackBack(7) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
宮部さんの作品は、私のとこの図書館でも大人気。新作は、なかなか回ってきません。で、ここ数年は自分で買ってるんですが、逆に安心しちゃっていつまでたっても読まないという悪循環にはまってます。だめですね~~(^_^;)
そうそう!良助さん全く登場しなかったので気になってます。あの番頭さんと凶宅には再会したくないけど(怖いから)、このまま終わらない感じはしますよね~。そして、ちかが新しい人生に踏み出せるのか、というのも気になるところです。
Posted by エビノート at 2008年09月23日 21:24
>エビノートさん
やはり宮部さんは人気なんですねぇ。買ってしまったら安心するっていうのは分かります。私も同じようにして積読本の山に埋もれている本が・・・^^;

良助さんが登場するはず!と思いながら読んだので意外でしたよね。あの番頭さんが見逃すはずがない(良助)と思うので、きっとそのうち・・・;;;私もあまり再会はしたくないですぅぅ。
ちかが今後、どんな風に歩んでいくのかというのは気になりますね。そこは、続編が楽しみなんですが・・・複雑です(笑)
Posted by すずな@主 at 2008年09月24日 15:31
こんばんわ^^TBさせていただきました。
お、続編ですか。それは考えなかったですね。
そういえば、気になる点がちらほらありました。
個人的に、おちかは清太郎さんと一緒になってくれるといいなぁ^^
どの話も怖かったですが、深くて心に残りました。
Posted by 苗坊 at 2008年09月25日 22:50
>苗坊さん
主人公であるはずのちかのことが、なんだか中途半端で終わってしまった感じがして、これは続編があるかな?と思えたんですが・・・。あるといいなぁ・・・。

どのお話もそれぞれに怖かったですよねぇ。夜中に読んだので怖さも倍増だったような気がします。怖いだけじゃなくって、切なさや苦々しさを感じて、だからこそ深く心に残るお話だったような気がします。
Posted by すずな@主 at 2008年09月26日 15:14
>ホラーを読んだら夜、トイレに行けない人なんです
 私もそれに近いです。(^^; というか、そんな状況になりそうなほど怖い話は読みませんけど、宮部のホラーは大丈夫です。ただ怖いだけじゃないから。
Posted by higeru at 2008年10月20日 19:31
>higeruさん
そうですね。宮部さんのホラーはただ怖いだけじゃないから、「怖いーっ!」と呟きつつ、ついホロリとしちゃったりして読むのを止められないんでしょうねぇ。怖いんですけどね;;;
Posted by すずな@主 at 2008年10月21日 15:17
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