「季節風」シリーズの夏バージョン。6月から8月の夏の日々を、家族愛と友情を中心に描いた短編集。
ジリジリと照りつける太陽ように熱く、遠くまで広がる青空のようにスッキリとしたお話を想像していたんだけど、ちょっと違ってました。お盆があるからか”誰かを送る”お話が多く、読んでる間中、死の匂いに包まれていました。でも、哀しいばかりではなく、最後はちゃんとほんのりとした優しさや温かさを感じられる、重松さんらしいお話ばかり。
ただですね、「癌」ばかりが目に付いたような気がするのは気のせいでしょうか。正直、読みながら「・・・また癌なの?」と思わずにはいられなかったんですよねぇ・・・。まぁ、日本人の死因で、癌が多いのは事実なんですけどね。
特に好きだったのは「べっぴんさん」「タカシ丸」かな。特に「べっぴんさん」では、自分の祖父母を思い出しました。そうそう!三矢サイダー!夏に祖父母の家に行くと、必ず冷蔵庫にキンキンに冷えたサイダーの瓶が並んでたんですよねぇ。で、飲んだ後はケースに返して、ちゃんと新しい瓶を冷蔵庫に入れとかなきゃいけなかった(笑)うわー懐かしいなぁ・・・と祖父の気難しい顔と祖母の笑顔を思い浮かべながら読みました。おまけに天花粉!今でもありますね、文中に書かれたいたように「ベビーパウダー」って名前になってるけど(笑)うちの姪っ子達もお世話になりました。「タカシ丸」は号泣。重松さんってば、これは泣かせにきてるなって分かってながら、どうにもこうにも・・・ぶわわっと溢れる涙は止められませんでした。
春の「おにぎり」に続いて、この夏のお話では「三矢サイダー」と、記憶の彼方に置いていた思い出が甦ってきました。私だけじゃなく、読んだ人誰もが、何かしらを記憶の底から甦らせたんじゃないのかなぁ・・・と思います。秋にはどんな記憶を甦らせてくれるんでしょうか。今から楽しみになってきました。
**ツバメ記念日 季節風*春
**少しだけ欠けた月 季節風*秋
**サンタ・エクスプレス 季節風*冬
2008年08月08日
この記事へのトラックバック
僕たちのミシシッピ・リバー 季節風*夏 重松清
Excerpt: 僕たちのミシシッピ・リバー―季節風*夏 「親知らず」 実家からの帰り道、親知らずが痛み始めた。こんなに痛みが出るのは久しぶりだった。息子はさっさと抜けばいいのにと簡単に言うが、歯医者には行けない、小さ..
Weblog: 苗坊の読書日記
Tracked: 2008-10-12 09:47
死のテーマの多い作品でしたよね。
私もガンが多いなぁと思いました^^;
でも、どの作品もリアルで逝ってしまう人と残された家族がかわいそうで切なかったです。
私も「べっぴんさん」好きでした。
おばあちゃん、素敵です。
夏だから明るいお話が多いと想像してので、余計に死にまつわるお話が多いと感じてしまったのかもしれません。
おっしゃるように、どのお話も「もしかしたら私も・・・」と思えるリアルさが余計に切なさを感じることになったんでしょうね。
「べっぴんさん」には泣かされました!