乃南さんにしては、ちょーっと物足りない。面白くないということではないんだけどねぇ・・・。
まずは「ウツボカズラ」ってなんぞや?ですね。無知な私は、何故か海中生物だと思ってしまってました。ウツボって海の生物じゃなかったですっけ?・・・ですね。今、ちょっと検索してみました。いつも思うけれど、ホントに便利な世の中になりましたねぇ~。って、話が逸れました(笑)え~そう、ウツボカズラってこのウツボの一種だと思ったんですよね。”カズラ(蔓)”は思いっきり無視して。で、読了後にどうもタイトルの意味が分からず、検索してみたところ”食虫植物”だということが判明しました。『ウツボカズラ』(Wikipedia)。あ~なるほど。納得。
・・・ということで、ウツボカズラみたいな女の子のお話でした。あら、一言で終わってしまった(笑)
いかん、いかん。最初からやりなおし・・・。
遠い親戚を頼って田舎から上京した女の子が主人公。とはいえ、語り手はどんどん入れ替わる。主人公が居候する立派な邸宅。そこで暮らす鹿島田家に関わった夫の愛人、妻の友人、高校生の娘の中学時代の同級生、大学生の息子のバイト先の社員が、次々とそれぞれの人々を語っていくという構成。そして、主人公の女の子は当然ながらその家族全員と関わりを持ち、それぞれの人々を語る。他の語り手が、関わった人を語った後は消えていくのに対し、最初から最後まで誰かを語るのは彼女だけなんですねぇ。この構成は面白いとは思うものの、誰かに語られるだけの鹿島田家の人々、それぞれの心情も知りたかったなーと思っちゃいました。それが無かった分、物足りなさを感じたような気がします。
おまけに、主人公も手練手管や智謀を用いて鹿島田家の面々を篭絡していった訳でもなく、勝手に堕ちていく家族を見つめていただけ、寄り添っていただけ。まぁ、ちょっとした悪意を発揮したことはしたけど。でも、勝手に堕ちていったという方が正しいような感じだし。”ワクワクぅ~”というより、”あれあれ、あれまぁ”という印象が強い。乃南さんなので勝手にミステリだと思い込んで読んだ私が悪いんだけどね。でも、期待していた分、そういうところにちょっとガッカリしちゃったかなぁ・・・。
エンタメとして読むと、楽しめる作品ではあるとは思います。私もそれなりに楽しめたし。ただ、やっぱり乃南作品としては・・・うーーん、ちょっと残念。
2008年07月01日
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