なんといっていいのか。なんとも言葉で表現できない読後感。決して”爽快”ではないんだけど、というか、逆に”じゃりじゃり感”みたいなものを感じる。感じるんだけど、なんというかね、それが嫌ではない。なんだろなぁ・・・。
死期が迫った患者さんの願いを一つだけ叶えてくれる人がいる。その人は清掃員の姿をしている。病院で清掃員のアルバイトをしていた大学生の神田は、そんな噂を聞いた患者さん達から「最後のお願い」をされる。それを引き受けた神田だったが・・・。
死期の迫った人が最後にする願い事。どの願い事も、神田が「出来るなら、その願いを叶えたい」と思うようなことばかり。だからこそ、出来るだけその願いをかなえようと奮闘する。ところが、ま~どの患者さんもお見事なくらい本当の本音の部分は話していない。なので、最後になって真相を知ると、そ、それはどうよ?と思わずにはいられないことが多い。なので、せっかく願いを叶えようと奮闘した神田が、後味の悪い思いをする。読んでるこっちも後味が悪いっていうか・・・。どのお話もスッキリ!と目出度し、目出度しとはならずに、モヤモヤ感が残るものばかりなんだよねぇ。でも、最後の、本当に最後の願いって、本当はそんなことが多いのかもしれない、とそんなことを思わせる。嬉しかったことよりも、哀しかったり、悔しかったりしたことの方が実は強く残ってしまってるし、そういう”心残り”が多いのかもしれないですね。
死期が迫ったとき、私は何を考え、何を悔やみ、何を望むのだろう。
そんなことを、フト想像した作品でした。
キレイなだけの話になってないところが深いなぁと思いました。
もっと人情味溢れるお話かと思っていたら、最期にまんまとヤラレタ;;;って感じでしたね。
でも、あ~それも分かるなぁと思えてしまう、そこにリアリティが感じられるお話でしたね。