2008年02月24日

ゴールデンスランバー(伊坂幸太郎)

面白かったー!
伊坂さんらしく、時間が行ったり来たり、視点がどこそこに飛んだり。何の繋がりもないような描写や一言が、後になってすごく重要なポイントだったりもして。一瞬でも気が抜けない、そんな読書になりました。

首相暗殺の濡れ衣を着せられてしまった主人公の逃走劇。ピンとくるひとはピンとくるタイトル。という私はピンと来なかった人でして(笑)この本の表紙裏の説明を読んで「おぉーっ♪」となりました。そして、読み終わった後、お約束のように「ABBEY ROAD」(THE BEATLES)をCD棚から引っ張り出して聴いてしまいました。

首相暗殺事件が「事件のはじまり」「事件の視聴者」「事件から二十年後」「事件」「事件から三ヵ月後」という5つの章で語られる。この時間経過と語られる内容が絶妙でして、読みながらすごく想像力をかきたてられて、ドキドキハラハラワクワク。

人はもちろん、自分を信じるってことは大切だし、信じられるってことは凄いことなんだなと思いましたね。そして、「信じる」ってことは大変なんだってことも。自分がこの事件に巻き込まれた時、どうなるかなと考えてしまった。この主人公になった時。そして、主人公と関わった人になった時は・・・。誰かに強く信じてもらえる自分かな、誰かをここまで信じられる自分かな。
・・・わからん。私の想像力がイマイチ足りない(笑)

それにしても、今までも感じていたことだけど、メディアの力って怖いよなー、凄いよなー。”情報操作”って言葉がヒタヒタと押し寄せてきた感じ。そして、自分の生活がどこかで覗かれているという現実。誰を守る為のものなのか、フト立ち止まって考えてしまいたくなりました。

最後の章では、ほっとして、知らず知らず微笑んでしまっていました。そして、ラスト。思わずどわーっと溢れる涙を止められなかった。

あ~、楽しませてもらった。


ゴールデンスランバー
ラベル:読書 著者(あ)
posted by すずな at 07:27| Comment(19) | TrackBack(11) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
面白かったですねぇ。
怖かったですねぇ。
首相殺害は別としても、情報操作ってありそうだし、自分が巻き込まれたどうなるんだろう?
と、ワクワクしながら読んでました。
Posted by じゅずじ at 2008年02月28日 19:09
ハラハラしながらの読書でしたが、面白かったですね~。「痴漢は死ね」でまさか涙が出ちゃうとは思ってもみませんでした。
当事者になってしまったらと考えるのも怖いですけど、報道を受け取る側であっても鵜呑みにしちゃうのは怖いなと感じさせられた一冊でもありました。
Posted by エビノート at 2008年02月28日 20:25
>じゅずじさん
面白かったし、それと同じくらい怖かったですねぇ。
私は、自分が巻き込まれたら・・・と想像してドキドキしちゃいました^^;

>エビノートさん
どうなるの?とハラハラの読書でしたが、その分、面白さも倍増でしたね。
そうそう。私も「痴漢は死ね」で泣けるとは思いませんでした^^;あと「たいへんよくできました」でも。
報道の怖さっていうものを改めて感じた作品でもありましたよね。その日に流れているニュースを見ながら、これって本当?と、疑ってかかりたくなりました^^;;;
Posted by すずな@主 at 2008年02月29日 13:43
私も思わずビートルズを引っ張り出しました。ちなみにLET IT BE。そして自分が危機に陥った時、みんな助けてくれるかな、自分は助けられるかなと考えたりしました。
でもどんなに仲がよくても、絶対と言い切れないのが複雑です。こんな国家的陰謀が相手では無理だよとか、それ以前に巻き込みたくないとも思うし、その時にならなきゃ分からないです。
Posted by たまねぎ at 2008年03月01日 00:33
>たまねぎさん
ビートルズが聴きたくなりますよね。つい、他のアルバムも引っ張り出して聴いてしまってます(笑)
自分がこの事件に関わったら、と考えてしまいますね。でも、そうですね。こんなことに巻き込みたくないとも思うし、巻き込まれたくないとも思っちゃうかなとも思えるし・・・。想像の域でも、複雑ですね。
・・・その時にならなきゃ分からないですけどね^^;
Posted by すずな@主 at 2008年03月01日 11:47
読みどころいっぱいでしたね。
スピード感溢れる展開。人と人との信頼に胸が熱くなりました。
「ABBEY ROAD」は図書館から借りて聴きましたが、予想以上に優しい曲でしたね。
Posted by 藍色 at 2008年03月02日 05:01
>藍色さん
次々に変わっていく展開に目が離せませんでしたね。
”信頼”の大切さを感じた作品でした。
タイトル曲がどんな曲か憶えてなかったんですが、聴いたら予想より賑やかでした^^;私はもっと静かな曲だと思ってたんですよ;;;
Posted by すずな@主 at 2008年03月03日 11:12
こんばんは。
こんなにおもしろいのに、そのおもしろさを十分に伝えられないのがもどかしい……無理やりにでも読ませてこの感動を!!と危険思考に陥りそうな気持ちになるほどよかったです(←変な例え)少し寝かせて再読したいです。繰り返し、繰り返し。
Posted by まみみ at 2008年03月04日 21:04
>まみみさん
あ~そのお気持ち、わかります!
「とにかく読んでっ!!」としか言えない時、自分のボキャブラリーの貧困さに、うがうがと喚きたくなることがあります^^;

その危険思考?に陥りそうな気持ちもわかります(笑)それくらい、面白かったですね、本当に。
Posted by すずな@主 at 2008年03月07日 13:37
犯人を作り上げて行くこわさを感じましたね。
逃亡劇は、ハラハラドキドキで、伏線もいっぱいで、最後までおもしろかったです。
Posted by at 2008年03月14日 22:30
>花さん
国家的陰謀の怖さをヒシヒシと感じた作品でしたね。
伏線がどこかしこに張ってあって、ハラハラドキドキ最後まで気が抜けなくて、本当に楽しめましたね!
Posted by すずな@主 at 2008年03月15日 15:25
すずなさん、こんばんは(^^)。
恐かったです。青柳がホントに普通の一般民間人だったから、尚のこと。こんなことに巻き込まれたら、自分はどうなってしまうのかと、そういう視点で読んでしまい、ちょっと胃の辺りが気持ち悪くなりました。(←特殊な読み方・・・別に私、後ろ暗いところはないんですが(笑))
でも、あちこちの伏線、登場人物たちの絆、時間の錯綜する構成、とても伊坂さんらしくて、そういうところは楽しかったです。
Posted by 水無月・R at 2008年03月28日 23:07
>水無月・Rさん
そうですね。自分が・・・と思うと恐怖も倍増でしたね。そういう意味では、とても怖かったです。
伏線の張り方が絶妙で、そういう所はすっごく楽しませてもらったんですけど^^;
Posted by すずな@主 at 2008年03月29日 12:01
本当に面白かったですよね~。
何気なく読んでいた人が大活躍したりして、あれあれ、とページを戻ることがありました。最初っから、メモ書きしながら読めば良かった!
決して、ハッピーエンドのラストではないのに、じんわり温かさが広まってくるすばらしい余韻を残した読後感だったのではと。
何かを信じることも流されるのではなく、ひとつひとつが自分の決断なのだな、生きるということは責任を負う決断の積み重ねなのだなと、感慨深い、一冊でした。
Posted by ハイジ at 2008年03月31日 01:45
>ハイジさん
わざわざコメントまでありがとうございます♪

私も「あれ?」と思って、何度も戻って読み直しをしてしまいました。
おっしゃる通り、ハッピーエンドではなかったけれど、温かさの残る読後感でしたね。
ただただ、面白かった!だけではなくって、自分の生き方といいますか、”姿勢”みたいなものを考えさせられた作品でもありました。
Posted by すずな@主 at 2008年03月31日 11:48
こんばんわ。TBさせていただきました。
今更ながら、読みました。
面白かったですね~。
伊坂作品はやっぱり好きです。
青柳の逃走劇にハラハラドキドキでした。
最後はほっとしました。
理不尽ですけど、森田の言葉の通りになってよかったです。
Posted by 苗坊 at 2008年07月24日 22:57
>苗坊さん
さすが伊坂さん!と思える作品でしたね~。
たしかに理不尽さを感じるものの、ラストの「たいへんよくできました」にはホッとして、ついホロリとさせられました。
Posted by すずな@主 at 2008年07月26日 14:13
すずなさん こんばんは。

アオヤギさんから、お手紙ついた~ってことで読み終えて嬉しかった一冊でした。
「習慣と信頼」深いなぁ~と、改めて思っている今日この頃です。
Posted by くじら at 2008年07月30日 21:01
>くじらさん
読後感の良い作品でしたね~。
私も「習慣と信頼」って大切なんだなぁ、としみじみと思いました。
Posted by すずな@主 at 2008年07月31日 15:01
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