2007年12月05日

私の男(桜庭一樹)

うーわー。どろどろ。

タイトルや新聞で目にした広告文から、ある程度の予想はついていたけど、ここまで”うひー;;;”だとはね。・・・と思いつつも、なんだかそこまで「げ、げげん;;;」と引いてしまうほどのドロドロさを感じないのは何故でしょう?ちょっと不思議。

章を追う毎に過去へと遡っていく。父と娘の絡まりあう様子が淡々と語られていく。読みながら、私までも二人に絡め獲られるかのようにのめり込んで読んでしまった。「赤朽葉家の伝説」よりも短い作品ながら、読み応えでは負けていない。むしろ、こっちの方が読み応えがあったような気もするなぁ。

花と父の淳悟。それぞれが犯した罪。二人で犯した罪。到底、許容できるものではないのだけれど、読んでいるとそれがとっても自然で、当然の結果のように思えてくる。自分が花だったら・・・と想像してみても、拒否反応を感じない。私も花と同じように淳悟に接してしまうような気がするなぁ。
・・・って、えぇっ!?自分で打った文章に自分でびっくりしちゃうよ。うーーん。これも桜庭ワールドのなせる技なんでしょうか;;;

読み終わった後、ふぅ、と一息ついて、最初の一章を読み直す。始めに読んだ時よりも、花の語りや淳悟の言動がずんずんと心に響いていくる。そして、次の章へ。・・・気が付くと、一気に再読までしてたよ。

私の男
ラベル:読書 著者(さ)
posted by すずな at 08:55| Comment(14) | TrackBack(14) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは!
嫌悪感を抱きそうな関係なのに、私も一気読みでした。
不思議なことに惹き込まれてしまって、お互いがお互いを必要としているのも仕方ないことかなと思ったり。
最後を読むと、最初に戻りたくなりますよね。
そして、描かれなかったその後を想像してしましました。
Posted by エビノート at 2007年12月05日 21:29
>エビノートさん
そうなんです。嫌悪感とか感じずに、逆にのめり込むように読んでしまった不思議な作品でした。
わかります。描かれなかったその後、あれこれ想像してしまいますよね。
Posted by すずな@主 at 2007年12月06日 13:50
ものすごい深さを感じられて、読み応えがありました。
読み終わって一章だけ読み返しましたが、印象のあまりの違いに戸惑いました。
Posted by 藍色 at 2007年12月07日 04:11
>藍色さん
深くって読み応えがありましたね。
そうそう。最後まで読んで、最初を読み返すと印象がガラリと違いましたね。
Posted by すずな@主 at 2007年12月07日 10:11
ドロドロですね。背徳感たっぷりです。でも官能的じゃないから意外とすっきりだと思いました。
Posted by たまねぎ at 2007年12月21日 22:16
>たまねぎさん
背徳感たぁ~ぷりのドロドロでしたねぇ;;;
そうですね。そこまで官能的ではなかったのが、すんなり読めた一因なのかもしれませんね。
Posted by すずな@主 at 2007年12月22日 15:51
すずなさん、こんばんは(^^)。
いや~、読んで驚く、桜庭さん新境地、なのでしょうか。
2人だけで完結する、澱んだ静寂な世界。この後、2人はどうなるのでしょうか。花は、夫・尾崎を棄てて、淳悟を探し当てるために北へ還るのではないでしょうか。最後まで読んだら、そんな風に感じました。
Posted by 水無月・R at 2007年12月24日 01:10
>水無月・Rさん
ぷ。と笑ってしまうような記述は全くと言っていいほど無かったですね;;;やはり、新境地、なのでしょうか。
この後の二人・・・。そうですね~、もし淳悟を探しにいかなくても、花は尾崎とは一緒にはいれないじゃないかとは思います。私も北へ行くような気がします。
Posted by すずな@主 at 2007年12月24日 12:00
こんにちは。
読み進めていくうちにどんどん言葉を失っていきました。これはすごい。過去にさかのぼるという構成が抜群だったと思います。
Posted by しんちゃん at 2007年12月28日 13:00
>しんちゃん
読み進むうちにどんどんのめり込んで読んでしまいましたね。凄い!と唸ってしまいました。
過去へと遡る構成が、また見事でした。
Posted by すずな@主 at 2007年12月30日 06:24
あまりハマると帰ってこれなくなるような、そういう怖い世界になっちゃってましたね。危なかった……最後まで読むと、また最初から読みたくなり、続きも読んでしまう…というループ読書に陥りそうでした。が、返却日ギリギリだったので、ロスは最小限で済みました^^
Posted by まみみ at 2008年01月08日 15:03
>まみみさん
ハマるとそのままずるずると引きずり込まれそうで恐かったですね。私は半分くらいは引きずり込まれてたような気がしますが・・・。
私も図書館から借りてきた本だったので、ループに陥らずにすみました。そういう意味でも危険な作品ですね^^;
Posted by すずな@主 at 2008年01月09日 06:37
こんばんわ。
私も見事にはまりましたね。
再読はしていないですが、今度は6章から順番に読みたいです^^;
重たくて読み終えた後にずしっと来るんですけど、それでも読んでよかったと思うんですよね。
私も図書館から借りてきたので、ループは免れそうです^^;
Posted by 苗坊 at 2008年06月26日 23:35
>苗坊さん
つい読み返したくなりますよね。6章から読むと、また違った印象を持てるかもしれませんね~。私も図書館の本で読んだので、もう再読できませんが・・・^^;
爽快な、ではなく、どよ~んとした読後感なのに、これは読んで良かったと思える作品でしたね。直木賞受賞も素直に頷けました。
Posted by すずな@主 at 2008年06月27日 14:05
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