2007年11月07日

空を見上げる古い歌を口ずさむ(小路幸也)

な~んか不思議なお話。
ミステリーだと思って読んでいたら、あれ?これってSF仕立てだったの?と、思わず声を出したくなるような展開に・・・。SFっていうかファンタジーっぽい感じ。まぁ、人の顔が”のっぺらぼう”に見えるってんだから、最初からSFだったって言えばSFだったんだけどね(笑)

凌一の息子、彰が、「みんなの顔が”のっぺらぼう”に見える」と言い出した。それを聞いた凌一は、すぐに20年前に姿を消した兄に連絡を取る。次の日、20年ぶりに姿を現した兄は、自分もみんなが”のっぺらぼう”に見えると言い、凌一や彰にその訳を語り出す・・・。

39歳の男性が語り手で、小学生の頃に体験したことを弟に話すという内容。昔語りのように綴られいく文章で、読んでいるうちにすんなりと70年代前半の時代に溶け込んでいく。なんて言えばいいのかなぁ。よく知らないその時代が、なんだか懐かしく感じられたんだよね。そういう意味でも、なんだか不思議なお話でした。

高熱をだした僕が、みんなの顔が”のっぺらぼう”に見えるようになってから、閉鎖された町で起こり始めた自殺や失踪に突然死。奇妙な事件の数々や、顔が見える人たち。20数年前に起こった事件が淡々と語られていく。どうして、”のっぺらぼう”が見えるようになったのか?どうして、ちゃんと顔が見える人がいるのか?僕は考える。そして、頑張ってみる。

溜めに溜めて、最後にどぉーーんと種明かし、みたいな感じで、まさに怒涛のラストでした。こういう感じって、ハリポタに似ているなぁ・・・と思いながら読んだ。前置きが長かった分、それに比べてラストの展開があまりにも早かった。うっわー、そうきたか!そうなるのかっ!と、息つく間もないほどの展開でした。
だからなのか、なんだかこの作品自体がプロローグのような印象を受けてしまったんだよね。続編があるみたいだから、その為のものかな?続編の主人公は彰かな?と思ったんだけど。どうも、違うようで・・・。イマイチ消化不良感が拭えないのです。

でも、あのラストにはしみじみとしちゃいました。じーん、というのとはちょっと違うんだけど、じわじわと沁みていくというか・・・。お兄さんの家族への想いに打たれたというか・・・。
うーん;;;上手く言葉に出来ない自分がもどかしい。


空を見上げる古い歌を口ずさむ (Pulp‐town fiction)
ラベル:読書 著者(さ)
posted by すずな at 06:28| Comment(5) | TrackBack(4) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
このお話って感想書きにくいです。言い過ぎるとネタバレになっちゃうし、書かなすぎると逆によさが伝わらないし……自分のブログを見ても????って感じでした。こういう不思議な小路さん作品では「HEARTBEAT」が好きです。またお時間あるときにでも、ぜひ!!
Posted by まみみ at 2007年11月08日 15:56
こういう不思議系は、続編の「高く遠く~」と別物の「そこへ届くのは~」です。あとは大家族の「バンドワゴン」や日常系の「東京公園」ですね。お気に入りは「キサトア」です。まみみさんのお薦めの本は、もうすぐ続編が出ます。
Posted by しんちゃん at 2007年11月08日 17:58
>まみみさん
あ~わかります。たしかに、感想書きにくいですよね。あんまりネタバレしてもなぁ・・・と思うと、どこまで書いていいやら;;;
お勧め、ありがとうございます!図書館で探してみますね~。

>しんちゃん
お~沢山のお勧め、ありがとうございます。どれから読んでいいのか、迷っちゃいます^^;
とりあえず、続編を読みます!
Posted by すずな@主 at 2007年11月09日 13:38
このシリーズの更なる続編を書いてもらえるとしたら、彰くんの物語をぜひとも読んでみたいですね~。
のっぺらぼうを視るようになった彼が、どんな風に世界と向き合ってゆくのか、とっても気になります!!
Posted by エビノート at 2008年01月08日 22:26
>エビノートさん
彰くんの物語が読みたいですよねっ!
彰くんには、のっぺらぼうが見える”おにいちゃん”がいるので心強い反面、最初から敷かれているようなレールをどう歩いていくのか・・・とか、気になります。
Posted by すずな@主 at 2008年01月09日 06:50
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