コンビニ強盗に失敗した主人公の伊藤がたどり着いたのは、仙台に近い島。その島は150年の間、外部との交流を持たず、人々は島独自のルールで生活していた。そして、その島には人間の言葉をしゃべり未来を予知するカカシの優午がいた。ところが、その優午が何物かの手によって殺される。誰が優午を殺したのか?どうして、優午は自分が殺されることを予知できなかったのか?
・・・なんとも。
もう、そんな言葉しか出てこない自分が情けないんだけど、他に言葉が出てこないんだもん。面白かったのは面白かったの。どんどん面白くなっていって、最後はどっぷりのめり込んで読了だった。で。え~とね、この小説ってミステリーなんでしょうか。たしかに、ミステリーなんだけどさぁ。ちょっとハードなファンタジーとも言えるような気がしないでもない・・・。
まずは、カカシがしゃべる。ま~これはね。ファンタジーでは色んなものが擬似人間化して、しゃべってたりするからいいんだけどね。このカカシがどうしてしゃべるのかってのがねぇ。なんか、イマイチ私には理解できない科学的?な仕組みがあって(笑)150年前に江戸時代の日本が開国する時に、一人の人間が作ったんだけども。虫さんが頑張ってるってのは分かったけどさ~。オズの魔法使いみたいなのでも良かったような気がしないでもなーい・・・。
島の住人達も個性豊かというか・・・。彼の殺人は”島の規律”だと容認されている男性。体重が300kgなので市場のお店から動かない、動けない女性。嘘しか言わない画家に、心音を聞くために地面に寝そべる少女、などなど。
そして、主人公伊藤の同級生で警察官である城山。この人も、かなり強烈というか毒の部分を一括して受け持っている感じで・・・。彼がどう絡んでくるんだ?と色々と想像してたんだけども。あ~そういうことですかぁと、私的にはちょっと期待はずれというかね。途中から、あ~最後はこうなるんだろうな、という想像通りの展開でしたね。彼に関しては。でも、言ってみれば彼もあの島に足りないものを持ってきた人物ってことになる訳で。ちゃんと役割はあって、その役割を果たしたから、速やかに退場願ったということではあるんけど・・・。
お話の展開には、結構ドキドキしたんだけど。最後は、ぬわーそれかいっ!?という感じでして。ああいう風に落ち着くとは思わなかったんだよねぇ。結局ところ、みーんな優午に踊らされたということですかねぇ。とんでもないカカシだよ(笑)でもね、あ~そういう優午は好きだなーと思いましたです、はい。
そんな風に思ったからか、読後感がかなりよろしい感じです。うふふふふ、と笑いながら本を閉じることができました。
私はあの場面でやったー!と快哉を叫んでしまいました。
そうなって欲しいというところに落ち着いてくれたので。
でも、それさえも予定調和だったとしたらやっぱり一番すごいのは優午ですよね。
私も、ホント「カカシの優午が喋る」のに、変に理由づけは要らんよ~!と思いましたね。
私、他の井坂作品にチョコチョコ登場する伊藤青年、実は大好きです。茫洋とした、浮世離れした感じが、いいですよね。きっと「島」で体験したことが、伊藤青年をこんな キャラにしたんだろうな、と。つまりは伊藤青年(井坂作品)の原点?
デビュー作ですもんね。面白かったです~。
すごくうまい表現ですね!^^
たしかに初めは、
「カカシがしゃべるんかいっ!」って
つっこみかけました(笑)
でも、優午はとても魅力的でしたね。
優午のおかげで、私も読後感がよかったです☆
なんだかんだ言いながら、実は私もあの場面では「やったー!よしよし。」と一人ほくそ笑んでいたのでした(^^ゞ
伊藤青年って他の作品にも登場してるんですね!?うわー、今までに読んだ作品にも登場してるんでしょうか。だとしたら残念です;;;
出来るだけ発表順に読んでいこう・・・
以前、水無月・Rさんにお勧め頂いた「死神の精度」に、なかなか遭遇できずにいます・・・。早く読みたいなぁ。。。
つっこみいれたくなりますよねー(笑)
主人公は伊藤青年なんですけどね、読了後には、影の主人公は優午?なんて思えてしまいました。