短編アンソロジー「Sweet Blue Age」に収められている「辻斬りのように」が最初の章になっていて、その続編的なお話。え~実は、短編集を読んだ時はですね、一言でバッサリと切り捨てたんですねぇ;;;ぶっちゃけると、その時に読んだ森見さんの「夜は短し歩けよ乙女」なんて、途中で挫折しちゃってんですよねぇ。・・・すみませんっ!!ここで、心からお詫びいたします。まぁ、2編とも短編ではなく、長編でこそ、その魅力が増すのだということで・・・と、言い訳をしてみる。
読み進んでいくうちに、どんどん切なさが積もっていくようなお話でした。
「辻斬りのように」で優奈が7人の男達と繰り広げた狂乱。その結果、生まれた七竈。七竈の父親が誰なのか、少女が成長するにつれて、だんだんと分かっていく。分かるにつれて、少女と幼馴染の少年、少女を囲む大人たち、みんなの気持ちが少しずつ少しずつ動いていき、関係が微妙なものになっていく。文章や登場人物達の会話が、ちょっと独特な感じで。現代のお話であるのに、印象で言えば昭和初期とか大正時代を彷彿させる。そのレトロさが、登場人物達の関係や心情の微妙な動きに合っているという印象を受けました。そして、表紙のイラストや装丁も文章の雰囲気をとってもよく醸し出してるように思えました。
お話によって語り手が変わっていくんだけど。一番好きな語り手は、やっぱり元警察犬のビショップでした。これはね~、もう本当に上手く騙されましたよ。ぬわ、そういうことかっ!?と思ったもん。このビショップの視線で語られる章が、幾人(?)かの語り手の中で”愛”を一番に感じられたお話だったような気がします。
そして母、優奈。彼女の”辻斬り”も、この作品によってやっと完結だったのかな、と思った。それにしても、淡々と語られる文章にウッカリさらりと流してしまいそうになるんだけけど、めちゃめちゃ激しい情動だよねぇ。私には真似出来ないし、そんな激しさは持ち合わせてないですね、きっと。・・・あ~たぶん、ね(笑)
ラストはとっても哀しかった。二人の淡々とした口調が、哀しさをなお一層、深いものにしているような気がしました。七籠の「それが私の純情です」という言葉が、もうねー。うっ、となりました。こみ上げる涙で文章が霞んで読めなくなっちゃったよ。
10年後の二人に会ってみたいような、会いたくないような・・・。
短編は読んでいないのですが、やっぱ短くまとめようとするとだめなんですかねぇ。個人的にカタログみたいでちょっと・・・。
予想がつかなすぎる独特の世界観が、はじめての「酔い」みたいなものを感じさせてくれる一冊でしたね★
涙なくしては読めない、叙情的な美しい文章でしたね~。
可愛そうな大人たち。可愛そうな子供たち。
七竈と雪風の、悲しい別れ。
美しい世界を描き出す、桜庭さんの筆力に感動しました。
七竈の切なさや哀しみが伝わってきましたよね。
元警察犬のビショップ、老練で視線に愛を感じられる語り口でした。
母、優奈の激しい情動は私もたぶん持ち合わせてませんけど、持ってなくて良かったって思いました(笑)。
あ~たしかに”カタログ”みたいですね~。私も短編は苦手なんですよ^^;
独特の世界観に、まさに”酔わされた”1冊でした。
>水無月・Rさん
二人の子供たちの会話に、最後はうっかり泣いてしまいました^^;
桜庭さん、ますますハマッテしまいました。
>藍色さん
ビショップの語りには、ほっとして読める安心感みたいなものがありました。
優奈の情動は持ってないほうがいいですよね、やっぱり(笑)
それが長編になると、こんな風になるのかぁ~と思いながら読みました。
古風な言葉で紡ぎ出される世界に酔い、そこで生きる人々の思いに切なくなってしまいました。
もちろん、ビショップはお気に入り♪
おぉ!同じような方が(喜)<アンソロジー
短編と長編では印象が変わりましたね。
ビショップがいい味だしてましたね♪
自分の辻斬りから時間が経って(私は負けずに情動が激しい……汗)、今度は「辻斬りのように」も穏やかに読むことができました。
ビショップが好き~♪ ああいう柔らか味や温かみを加えて緩急をつけるところが、桜庭さんはうまいなあ、と思います。
プリンセス・ストーリー強化月間!(笑)
その時の自分の精神状態で、同じ本でも受ける印象がガラリと違ってきたりするよね。今回は、穏やかな読書が出来て良かったね。
ビショップは良かったよね~。読んでてほっと出来ました。