2007年08月16日

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない(桜庭一樹)

最初に、思いっきりネタバレしてるっていうか、ラストが書いてあるんだよね。で、そのラストに向かって粛々と物語が進んでいく・・・という感じでした。最初にラストが書いてあっても、途中までは「何のことやら?」って意味不明なことも多いんだけど、これはもうね、「こうなりますよー。」「こうなる過程を描いてるんですよー。」という風に但し書きがしてあるような印象でした。

そのラストっていうのが、衝撃的で。うわーそうくるのかぁ・・・と。でも、前回読んだ「少女には向かない職業」で、ある意味、馴れ(と言ったら言葉が悪いんだけど)てしまったというか・・・ね。あ~そうくるのかぁ・・・だったんだけど・・・。

子供は日々、闘ってるんだよね。色んなモノから自分を守る為に。砂糖菓子で作った弾丸しか持てなくたって、それでも精一杯、闘っている。私の少女時代を思い返すと、このお話程ではなかったけれど、それでも色んなモノ達と闘ってたなーと思うもんなぁ。私なりに一生懸命、頑張ってたなーと、今更ながらあの頃の自分の頭を撫ぜてあげたくなったよ。

なぎさと藻屑。二人の少女の姿が、生々しく、そして痛々しく。”胸が痛い”という表現では、全然足りない。途中から、出来ることなら・・・という思いで読んでいたんだけれど、最後はやっぱり辛い結末のままで・・・。
今を生きてる少女達が、どうかこんな結末に遭遇しないように・・・そう祈るような気持ちで読了しました。

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない―A Lollypop or A Bullet
ラベル:読書 著者(さ)
posted by すずな at 10:50| Comment(11) | TrackBack(8) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
この作品は元はラノベでしたよね。
こんなに痛くて、よく受け入れられたなあと感心しました。
これが3冊目だったので免疫力があったけど、自分が10代の頃には受け入れられたか疑問です。
Posted by しんちゃん at 2007年08月16日 13:22
こんばんは!
文章はサラリと読めるんだけど、内容はとても痛々しかったですよね。
出来るなら物語の中に入っていって、何かしてあげたいと切実に願ってました。
だから、担任の先生の言葉が自分の思いと重なっちゃって、無力感に打ちひしがれてしまいました。
Posted by エビノート at 2007年08月16日 20:42
>しんちゃん
元はラノベというのは、驚きですよねぇ。
10代にはちょっと衝撃が強すぎるような気がしますね・・・。

>エビーノートさん
文章と内容のギャップがなかなかでしたね;;;
ラストが変わらないかと、切実に願った作品でした。担任の先生の言葉には私も結構、きました・・・。
Posted by すずな@主 at 2007年08月17日 11:37
こんにちは。
痛々しくてやりきれないお話でしたね。
なぎさの語り口は本当に13歳の女の子のように率直でリアルでした。
私も色んなことと一生懸命闘って頑張ってたこと、思い出しました。すずなさんもなのですね。あの頃の自分ってけなげで撫でてあげたいです…。
Posted by 藍色 at 2007年08月17日 13:59
>藍色さん
そうでしたね。なぎさの語り口によって、痛々しさが倍増していたような気がします。
自分の少女時代を思い出してしまうお話でしたね。
Posted by すずな@主 at 2007年08月18日 11:07
導入部は、なんのことかわからず読んでいました。
 途中で「え、うそ。そういう結末じゃないよね」って予感を覚え、最初に戻って読み返して、それでもまだ「違うよね、そうじゃないよね」って祈るように読んでました。

 痛くて哀しくてせつない物語でした。
 でも、少女たちを描く桜庭さんの目線はあくまで優しいものだったと思いました。
Posted by miyukichi at 2007年09月22日 17:02
>miyukichiさん
私も、どうか導入部の結末になりませんように・・・と、祈るような気持ちで読みました。
かなり悲しい物語でしたね。が、おっしゃるように、桜庭さんの優しい目線を感じるお話でもありましたね。
Posted by すずな@主 at 2007年09月24日 09:54
こんばんは。これも読みました。文庫版で手に入れたので、とってもラノベな表紙です。
これが夢物語ではないところが、切ないです。
被虐待児に見られる傾向を、藻屑の造詣に上手に活かしてあるなあ、と感心しました。
結末がわかっているだけに、可哀想でしたね。
Posted by あまね(香桑) at 2008年06月20日 00:50
>あまねちゃん
文庫版ですか!イラスト、ちょっと見てみたかったり~(笑)今度、本屋さんで探してみよう。

現実でもある、という事実に胸が痛みます。こういうことは小説の中だけであって欲しいね。
Posted by すずな@主 at 2008年06月21日 11:29
すずなさん、こんばんは(^^)。
藻屑が自分を「人魚」だと言い張るその姿が、とても痛々しかったです。
大好きなお父さんの過去の栄光にある人魚・・・食べられてしまうけれど。父からの虐待を正当化するかのような、その思考が本当に痛かった。
私も、担任の言葉には、本当に胸が詰まりました。大人になって、救えると思っていたけれど、でも出来なかった、その辛さが、とても切なかった。
現実にも、こういった事件がたくさんあるのが、とても悲しいです。
Posted by 水無月・R at 2008年10月08日 23:18
>水無月・Rさん
藻屑の言動がどれも痛々しかったですね。担任の言葉はかなりきましたね;;;
本当に。こんなこと、どうかお話の中だけであって欲しいと願わずにはいられません。。。
Posted by すずな@主 at 2008年10月09日 15:40
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック

「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」桜庭一樹
Excerpt: 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない―A Lollypop or A Bullet桜庭 一樹 (2007/03)富士見書房 この商品の詳細を見る 山田なぎさは中学生。父を亡くし、母のパートの収入と生活保護で生..
Weblog: しんちゃんの買い物帳
Tracked: 2007-08-16 13:16

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 〔桜庭 一樹〕
Excerpt: 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない―A Lollypop or A Bullet桜庭 一樹 富士見書房 2007-03売り上げランキング : 162084おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-T..
Weblog: まったり読書日記
Tracked: 2007-08-16 20:33

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 桜庭一樹
Excerpt: 装丁・装画は大路浩実(左側)。書き下ろし。2004年11月刊行の富士見ミステリー文庫(右側)を単行本化。 主人公で語り手の山田なぎさは鳥取の片田舎に暮らす女子中学生。父は他界し、母のパート代でやっと..
Weblog: 粋な提案
Tracked: 2007-08-17 14:00

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet/桜庭一樹 [Book]
Excerpt: 桜庭一樹:著  『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet』  砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない―A Lollypop or A Bullet桜庭 一樹富士見書房このアイ..
Weblog: miyukichin’mu*me*mo*
Tracked: 2007-09-22 16:59

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
Excerpt: 桜庭一樹 2004 富士見ミステリー文庫(画像は2007年発行の単行本) 表紙
Weblog: 香桑の読書室
Tracked: 2008-06-20 00:44

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』/桜庭一樹 ◎
Excerpt: 痛いなぁ・・・。桜庭一樹さんの描く少女って、どうしてこんなに痛いんだろう。痛いと言っても、実際の痛覚ではない。もちろん今流行りの「イタイ」でもなく。 「少女」であることのやるせなさというのかな~、私も..
Weblog: 蒼のほとりで書に溺れ。
Tracked: 2008-10-08 23:12

桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』について
Excerpt: ――見事に『現実』を描写したライトノベル―― ■「子供の無力感」を描き切ったミステリー 直木賞作家・桜庭一樹が注目されるきっかけとなった 本書・『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』であるが、 当初この..
Weblog: 酒井徹の日々改善
Tracked: 2012-03-02 11:29

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
Excerpt:  異形を抱えた少女を描かせたら並ぶものがない桜庭一樹の「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」(角川書店)。最高に衝撃的な作品の一つだ。  主人公は、山田なぎさという鳥取 ...
Weblog: 本の宇宙(そら) [風と雲の郷 貴賓館]
Tracked: 2012-03-03 07:56