連作短編集。一つの章で、時代を超えた二つのお話が綴られる。その二つのお話は、どこかしら似ていて・・・。人間って、いつの時代でも同じような営みを続けてきたのだな、そんなことを思う。最初の章でクスノキの誕生が語られる。なんとも辛い悲しいスタート。そのスタートから暗示されるように、クスノキの下では悲しい出来事が繰り返されていく。。。
哀しい。苦しい。切ない。恨めしい。人間達の叫びに、ウッカリ気を抜くとずるずると足の先から引っ張り込まれそうな感覚。ほんわか暖かいお話かと思いきや、人間の負の部分にスポットを当てた、かなり重いお話でした。たしかに、そういう装丁なんだけどね・・・。でも、タイトルや帯の文字を読んで、勝手に暖かいお話だと思い込んで読み始めた私は、のっけからの重い暗いお話に虚をつかれ、一気に暗い淵に引きずり込まれてしまいました。読み終わった今も、なんだか心の中で負の感情が渦巻いているような気分です。
でも、暗いお話だけではなく、確かにちょっと希望を感じるようなお話もあったにはあったなー。最初の「萌芽」も現代のほうはそれなりに、「バァバの石段」だってそうだし。あったにはあったけど、この全体を覆う暗い負の感情は簡単には拭い去れない・・・。
ラストは、またそうやって新たな芽吹きがあり、その下では飽きることなく人間達の営みが繰り返される・・・と、希望とも絶望とも受取れるような終わり方でした。絶望ではないのか・・・なぁ。生きていれば、楽しい嬉しい事ばっかりじゃなく、辛く悲しい事だって、みんな同じようにあるんだと。それが生きているということ、生きていくっていうことなんだと。そういうことなのかな。
でも、もしかするとね、このクスノキの最初の出来事はこれだったんだよ、ということなのかもしれないなぁ、とも思ったんんだけど。
むかしの人たちの壮絶な生き様の数々…重い暗いお話でしたね。
喜びや悲しみ、憂いや恨み…繰り返される人々の暮らしは決して幸せじゃないと痛感させられました。
…このダメージ、何か明るい本で気分転換されてくださいね(「みぃつけた」再読?)。
過去も現在も関係なく、生きることの哀しさ、辛さを感じさせられた一冊でしたね。
「バァバの石段」は唯一、ほっとできる作品でした。
藍色さんもコメントされてるように、気持ちを立て直せる本と出会えると良いですね。
まさに”壮絶な生き様”でした。少々、毒気にやられちゃった感があります;;;荻原さんってこんなお話も書くんだ!?と、ちょっと驚きでした。
>「みぃつけた」再読?
お~よいアドバイスをいただきました♪そうですね、そうします。鳴家たちに癒されることにします。
>エビノートさん
まさに、生きることの厳しさを感じた一冊でした。「バァバの石段」だけ異色な感じがしましたよね~。疑問です。私的には助かりましたけど(笑)
鳴家達に癒されることにします~♪