2006年09月30日

黒と茶の幻想(恩田陸)

本を読んでて、とっても不思議に思うことは「どうして、みんなそんなに他人の性格とか言動が分かるのかなぁ?」ってこと。この「黒と茶の幻想」は特にそう思った本でした。私が他人と接する時は、ぼぉ~~っとしているのか、他人の性格っていうか、こういう時には彼は、彼女はこう行動する。こう思うだろう。っていうのが皆目わからないんですよね。でも、本を読んでると、彼は(彼女は)これこれこういう人で、私は彼の(彼女の)こういうところに惹かれただの、こういうところが合わなかった、って記述がよくでてくるんだよね。凄いよなぁ~、って素直に感動するんです。私は、友達のどういう所が好きで、どういうところに惹かれているとか、こういう時、彼女はどう行動するってことなんて、正直さっぱり分からないんですもん。

この「黒と茶の幻想」ってお話は、学生時代の同級生だった、利枝子、彰彦、蒔生、節子の4人が、卒業から十数年を経てY島へ旅をするって話です。Y島ってイニシャルになってるんだけど、鹿児島湾を出発して、J杉だのY杉だのでてくるとこみると、屋久島を想像すればいいみたい。

4人がリレー形式で語っていくんだけどね、最初は「利枝子」次は「彰彦」ときた時に、私は次は「節子」で、最後が絶対「蒔生」だと思ってたんです。でも、それが見事に裏切られました。3番目で「節子」ってタイトルを見たときには、やられたぁ~って思ったもんなぁ。こういう風に、予想を見事に裏切られると嬉しいもんだよね。本を読みながら、その先を予想するでしょ?その通りにストーリーが進むと嬉しいんだけど、だんだん読む気がなくなるっていうか、結構がっかりしちゃったりするよね。予想が当たるのは嬉しいけど、こういうときは見事に裏切られたいと思うんだよね。読者ってわがままよね。

4人で旅をするにあってテーマがあるの。テーマは「美しき謎」。今手元に残されている僅かな断片から、過去に遡りそこに何があり、何が起きていたのかを探る。全員が納得できる答えが出たときが解決っていうもの。この謎解きも面白かった。そして、4人に共通する一番の謎は「梶原憂理」。学生時代、利枝子の親友であり、利枝子と蒔生が別れる原因となった人物。さて、「梶原憂理」は、どういう人物で現在、どうしているのか?推理しながら読むのも面白いかもね。ちなみに、私の予想は半分当たりってとこかな。

(2002.1.13)

黒と茶の幻想
posted by すずな at 10:21| Comment(0) | TrackBack(1) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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恩田陸【黒と茶の幻想】
Excerpt: 利枝子、彰彦、蒔生(まきお)、節子。大学時代の同級生4人が再会し、都会の喧騒を離れて緑あふれるY島へ旅に出た。 彼らは思い出話に花を咲かせつつ、過去に解けなかった謎を�...
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