この「黒と茶の幻想」ってお話は、学生時代の同級生だった、利枝子、彰彦、蒔生、節子の4人が、卒業から十数年を経てY島へ旅をするって話です。Y島ってイニシャルになってるんだけど、鹿児島湾を出発して、J杉だのY杉だのでてくるとこみると、屋久島を想像すればいいみたい。
4人がリレー形式で語っていくんだけどね、最初は「利枝子」次は「彰彦」ときた時に、私は次は「節子」で、最後が絶対「蒔生」だと思ってたんです。でも、それが見事に裏切られました。3番目で「節子」ってタイトルを見たときには、やられたぁ~って思ったもんなぁ。こういう風に、予想を見事に裏切られると嬉しいもんだよね。本を読みながら、その先を予想するでしょ?その通りにストーリーが進むと嬉しいんだけど、だんだん読む気がなくなるっていうか、結構がっかりしちゃったりするよね。予想が当たるのは嬉しいけど、こういうときは見事に裏切られたいと思うんだよね。読者ってわがままよね。
4人で旅をするにあってテーマがあるの。テーマは「美しき謎」。今手元に残されている僅かな断片から、過去に遡りそこに何があり、何が起きていたのかを探る。全員が納得できる答えが出たときが解決っていうもの。この謎解きも面白かった。そして、4人に共通する一番の謎は「梶原憂理」。学生時代、利枝子の親友であり、利枝子と蒔生が別れる原因となった人物。さて、「梶原憂理」は、どういう人物で現在、どうしているのか?推理しながら読むのも面白いかもね。ちなみに、私の予想は半分当たりってとこかな。
(2002.1.13)