小説すばる新人賞受賞作。
16歳の現役高校生というのは史上最年少の受賞なんだそう。
・・・これを16歳男子が書いたのか!そうか、それはスゴイなぁ・・・。だって、このお話って、中学生も登場するけど、大学を卒業して就職したその後の彼らがメインのお話なんですよね。16歳で20代後半の人たちをメインにしたお話を書くという、もう、それだけで、スゴイなぁと思っちゃいます。まぁ、作家さんって、そういうものなんでしょうね、きっと。
中学生のとき、町の科学館に入り浸り、宇宙への夢を抱いていた祐人、薫、理奈、春樹の4人。幼馴染の4人が、それぞれ高校生、大学生となるにつれ、その夢を追いかけることが難しくなる。祐人は夢を諦め、東京の大学を卒業後は地元に戻って公務員となった。薫は科学館に勤め、春樹は実家の電気店を継ぎ、ただ一人、理奈だけは大学院に進み宇宙への研究を続けていた。それぞれの道を歩んでいた彼らが、館長の死を機に再び集まることになるが・・・。
幼馴染の4人を中心に、「夢」を諦めた人、叶えられなかった人、追いかけてる人たちの葛藤や複雑な思いが絡み合って、その重さに胸が詰まる。出来ることなら、みな、夢を追いかけていたいだろう。でも、それを出来るのは、ほんの一握りの人たちというのも現実で。私にもあった、そんな気持ちに思いを馳せながら読んでたら、胸が詰まってきました。
死んだ館長にも、秘めた思いや過去があって、それが明かされた時、もうね、堪らない気持ちになった。みんなの想いが痛かった。
でも、最後はみんなが前向きに一歩を踏み出す姿にホッとしました。出来ることなら、館長が亡くなる前に・・・と思えてならなかったけれど。でも、亡くなったからこそ、というのもあるんだと思うし。そんなことを考えて、ちょっぴり複雑な気持ちにもなりました。
じんわり心に沁みる良い物語でした。
(2017.06 読了)
2017年08月24日
2017年08月19日
かがみの孤城(辻村深月)
・・・ヤラレタ。
まさか、最後の最後でそんな・・・。えぇーっ!?と思ったと同時に涙腺決壊。そして、読了後すぐに読み直しちゃいました。
中学1年生のこころは、ある出来事から学校へ行けなくなる。母親の勧めで「心の教室」というスクールに通おうとするが、そこにも行けず。自分の部屋で一日を過ごしていると、突然、部屋の鏡が輝き出し、こころは鏡の中の城へと導かれていく。そこには、こころと同じような境遇の中学生たちが全部で7人。彼らにある課題が出されるが・・・。
多少のネタバレあり。・・・になるやもしれません。
未読の方はご注意ください。
10代の男女に謎、ファンタジー。なんとなくデビュー作を思わせるような、そんな作品だなぁと思いながら読みました。でもね、イタイんですよ。こういうお話はイタイ。あの頃の自分の瘡蓋をピリピリリと剥がされてるようで、ちょっとヒリヒリドキドキしてしまいました。でも、こういうお話も、夢中で読めるようにはなったんだなぁ。そんな感慨にも、ちょっぴり浸ったり。
時間軸については、すぐに気付きました。てか、みんな!なんで気付かないの!?早く気付いてよー。そして、城の中だけじゃなく、現実世界で出会わなきゃー!って思ってたんですよね。最後はそういう展開で終わるんだと信じて疑わなかったんですよねぇ。もうね、まんまと作者の掌の上で転がされた感。むちゃくちゃ悔しいんだけど、でも、そういう展開じゃなくて良かったかなぁと今なら思います。
それにしても、中学校の担任である伊田先生にはムカムカ。でも、現実にもこういう先生はいるんだろうなぁとも思えるのが、なかなか・・・。身勝手だとは思いつつ、私の身近にいる子供たちが、どうかこんな先生と出会うことがありませんように、そう願ってしまいました。そんな伊田先生とは対照的だったのは、スクールの喜多嶋先生。こころの気持ちに一所懸命に寄り添おうとする姿が印象的でした。
・・・って、そうか、それでか!と、最後の最後に、どっかーんと爆弾を落とされてしまいました。そうだったのか!気付かなかったーっ!!
いや、これはイカンよー。ズルイよー。泣くよー!と涙腺大決壊。ぶちぶち言いつつも、すぐに読み返してしまいました。
そして、いつかみんなで・・・つい願ってしまうのでした。
(2017.06.19 読了)
まさか、最後の最後でそんな・・・。えぇーっ!?と思ったと同時に涙腺決壊。そして、読了後すぐに読み直しちゃいました。
中学1年生のこころは、ある出来事から学校へ行けなくなる。母親の勧めで「心の教室」というスクールに通おうとするが、そこにも行けず。自分の部屋で一日を過ごしていると、突然、部屋の鏡が輝き出し、こころは鏡の中の城へと導かれていく。そこには、こころと同じような境遇の中学生たちが全部で7人。彼らにある課題が出されるが・・・。
多少のネタバレあり。・・・になるやもしれません。
未読の方はご注意ください。
10代の男女に謎、ファンタジー。なんとなくデビュー作を思わせるような、そんな作品だなぁと思いながら読みました。でもね、イタイんですよ。こういうお話はイタイ。あの頃の自分の瘡蓋をピリピリリと剥がされてるようで、ちょっとヒリヒリドキドキしてしまいました。でも、こういうお話も、夢中で読めるようにはなったんだなぁ。そんな感慨にも、ちょっぴり浸ったり。
時間軸については、すぐに気付きました。てか、みんな!なんで気付かないの!?早く気付いてよー。そして、城の中だけじゃなく、現実世界で出会わなきゃー!って思ってたんですよね。最後はそういう展開で終わるんだと信じて疑わなかったんですよねぇ。もうね、まんまと作者の掌の上で転がされた感。むちゃくちゃ悔しいんだけど、でも、そういう展開じゃなくて良かったかなぁと今なら思います。
それにしても、中学校の担任である伊田先生にはムカムカ。でも、現実にもこういう先生はいるんだろうなぁとも思えるのが、なかなか・・・。身勝手だとは思いつつ、私の身近にいる子供たちが、どうかこんな先生と出会うことがありませんように、そう願ってしまいました。そんな伊田先生とは対照的だったのは、スクールの喜多嶋先生。こころの気持ちに一所懸命に寄り添おうとする姿が印象的でした。
・・・って、そうか、それでか!と、最後の最後に、どっかーんと爆弾を落とされてしまいました。そうだったのか!気付かなかったーっ!!
いや、これはイカンよー。ズルイよー。泣くよー!と涙腺大決壊。ぶちぶち言いつつも、すぐに読み返してしまいました。
そして、いつかみんなで・・・つい願ってしまうのでした。
(2017.06.19 読了)