都会を走る移動図書館を舞台にした連作短編集。
60代後半の新人運転手テルさんと図書館司書ウメちゃん。年の差40歳の二人の職場は横浜の街を走る移動図書館「本バスめぐりん」。本バスに乗って、団地、公園、ビジネス街を巡回していると、様々な謎が舞い込んで来て・・・。
本屋さんや出版社を舞台にしたお話を書かれている大崎さん。次は移動図書館ですか!と、ワクワクしながら手に取りました。これは絶対に好きだ。本好き、図書館好きな私にはどストライクなお話だ!と読む前からテンションが上がりました。
・・・となると、肩すかしだった~とガッカリすることも多いんだけど、そんなことは全くなくって、最後までテンションが下がらないまま楽しめました。
巡回先で様々な謎が舞い込んでくるんだけど、どれもこれもが最後は優しく暖かい気持ちになれるような謎ばかり。最初は、ちょっと不穏な感じだなぁ・・・と思っていても、最後は概ねほっこり出来て良かった。
特に好きだったのは「道を照らす花」で、こういう関係っていいなぁと思いました。自分が行けないときは、誰かが代わりに返却してくれる、とか。すごく、羨ましい。。。まぁ、でもね、私だったら、時にはそんな関係を煩わしく感じることもあるんだろうなぁと、自分のことなので、そんなことを思ったりもしたのでした(笑)
移動図書館は私の住む地域にもありますが、利用したことはもちろん、バス(?)自体も見たことがないので、どんな感じなんだろうと興味津々でした。もちろん地域によって違いはあるんだろうとは思うけど、なんかね、すごく良いなぁと思いながら読みました。私は、図書館を利用しているとはいえ、司書さんたちとそんなに親しく会話することもないし、ましてや利用者さんとの交流なんて全くありません。それが、移動図書館だと、あれこれお話できたり、利用者同士での交流もあったりするのか~と、ちょっぴり羨ましくも思ったんですが、前述の通り、それを煩わしく感じたりすることも多々ありそうな気もするので、なんとも・・・ですけどね。
それにしても、書店もですが図書館も厳しい環境にあるのだなぁということを改めて、ヒシヒシと感じたりもしました。本好きとしては、なんとかこの状況から少しでも抜け出せることを願うばかり。買ったり、借りたり、購入してもらったり、そして、そうやって手にした本を思いっきり楽しんだりと、そんなことをささやかながら続けることしか私には出来ないけれど。
そうそう!”図書館”ということで色んな本が登場したのですが、自分が好きな本も登場したりしてテンションがあがりました。その中で、全く知らないシリーズが登場して、すっごく気になったんですよね~。翻訳ミステリーの「おばちゃまシリーズ」なるもの。かなり興味を引かれたので探してみたんですが、ドロシー・ギルマン作「おばちゃまはスパイ」シリーズとして集英社から14作が出版されているみたいです。地元の図書館で探したらシリーズ途中の作品が2冊しか置いてなかった;;;シリーズ物は1冊目から順番に読みたいんだよなぁと、ネット書店でも探してみたものの、こちらも新刊では在庫がなく・・・。ガッカリ。こうなったら、今度、リアル書店でも探してみよう!と思ったんですが、果たして在庫があるかどうか・・・。無ければ古本屋さんかなぁ。読めるといいなぁ・・・。
・テルさん、ウメちゃん
・気立てがよくて賢くて
・ランチタイム・フェイバリット
・道を照らす花
・降っても晴れても
(2017.01.07 読了)