2017年01月11日

コンビニ人間(村田沙耶香)

第155回芥川賞受賞作。

前から公言している通り、私にとって「芥川賞」は鬼門なのです。どうもね、純文学というのを楽しめないジブンがいるのです。読み終わって「・・・で?」ってなことを思っちゃうんだよねぇ・・・。
そんな訳で、かなり話題になっていましたが読むつもりはなかった本書。ところが、職場の同僚がグイグイと押してきまして!か~な~り、渋々と手に取った次第。もちろん、「芥川賞は鬼門なんだけど・・・」と前置きもして逃げ道を作ってからね(笑)


コンビニでバイトする36歳未婚女性の古倉恵子。小さい時から自分の感じ方が人と違うことを自覚し、目立たないように生きてきた。コンビニでバイトを始めて18年目のある日、新入り男性の白羽がバイトを始め・・・。

自分でもビックリだったけど、思ってたよりも楽しめた。ラストで「・・・で?」とも思わなかったし!これは進歩なのか、それとも、たまたまこの作品が合ったからなのか。どっちなのかは分からないけれど。

すっごい印象的だったのは、小学生の頃の喧嘩の止め方。もちろん、それが一番、手っ取り早い方法なんだとは思うけど…。自分が同じことされたら痛い、という風には考えられないんだろうなぁ…。そんなことや、いくつかの出来事を通じて、自分が人と感じ方が違うということを知った恵子。その後は、とにかく周囲に合わせることを一番に考えて行動するようになる。小学生で悟って出来ちゃうんだから、頭のいい子なんだろうなぁと、そんなことを思ったり。

大学卒業を控えた恵子が始めたコンビニでのアルバイト。マニュアルがあって画一的だから18年間も続けてこれたんだろうと思うけど。でも、新人バイトの白羽との交流で、何かが狂い始める・・・。いや、そこ、言いなりにならなくていいから!周囲の反応を気にしなくていいからー!と、何度も心の中で突っ込んでしましました。歯がゆさでギリギリしました。でも、今までも周囲に合わせて生きてきた恵子だから、そこで流されてしまうのだろうなぁとも思ったり。

まぁ、私も”普通”とは違う人生を送ってまして。実際、今の境地になるまでは、親から”世間体”のことや周囲からアレコレ言われたりすると、その度に色々と思うこともあったのでね。人のことに関してアレコレ言えないとは思うんですけどね(笑)

どうなることかと思ったけれど、最後は自分の意志で、自分のやりたいと思うことに向かって進んでいく恵子が見れて良かったなぁと思いました。

私だって、人と違うことを唱えるのは勇気がいるし、世間体みたいなものを全く気にしないで生きていける訳ではないけれど。それでも、少しでも”自分が良い”と思ったように生きられたらいいなぁと、そんなことも思いました。




(2017.01.05 読了)



コンビニ人間
文藝春秋
村田 沙耶香

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ラベル:読書 著者(ま)
posted by すずな at 05:37| Comment(6) | TrackBack(2) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月09日

シャルロットの憂鬱(近藤史恵)

元警察犬シャルロットが連れてくる日常の謎を描いた連作短編集。

子どもが出来ない真澄は夫の浩輔の提案で犬を飼うことに。縁あってやってきのたの雌のジャーマンシェパード。初めて犬と暮らすことに不安もあったが元警察犬ということもあって、しつけも出来ているシャルロットとの生活は思っていた以上に順調だったが・・・。

真澄夫婦がたっぷりの愛情を注いでいるというものあると思うんだけど、描かれているシャルロットがめちゃくちゃ可愛い。とはいえ、ジャーマンシェパードですからね。実際に出会ったら、きっと目を合わさないようにギクシャクとすれ違うだけになってしまうだろうなぁと思うんだけど(笑)実は、小さい頃に子犬に追いかけられたことがあってから犬はちょっと苦手だったりします・・・。

散歩の途中で知り合った人たちとの交流を中心に事件が起こっていくんだけど、ほっこり出来るものもありつつ、真相はなかなか重いものも多かった。様々な人の思いが交錯して、切なくなったり、時にはゾッとするような事件もあって、そこら辺は近藤さんだなぁという感じでした。そんな重い気持ちをフッと吹き飛ばしてくれるのが、シャルロットであり、真澄夫婦の穏やかで温かい関係だったりしました。

新年の1冊目に相応しく、軽く読めつつ、アレコレ考えさせられたりもして。でも、最後は優しく穏やかな気持ちになれる作品でした。





・シャルロットの憂鬱
・シャルロットのトモダチ
・シャルロットとボーイフレンド
・シャルロットと猫の集会
・シャルロットと猛犬
・シャルロットのお留守番




(2017.01.04読書)





シャルロットの憂鬱
光文社
近藤 史恵

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ラベル:読書 著者(か)
posted by すずな at 12:37| Comment(2) | TrackBack(1) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月08日

◆2016年の読書まとめ

あけましておめでとうございます。
今年こそは!最後まで息切れせずに記事UP出来るようにしたいと思っています。
本当にダメダメなブログ主ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

と、昨年に引き続き、遅い遅ーい、2016年の読書まとめと新年のご挨拶でございます。

2016年は、なかなか更新できない自分に、途中凹んだりもしたけど、終盤では開き直ってしまったような、そんな感じです。なんとか追いつこうとしたけれど、さすがにね、もう、ムリ。記事UPについては、ほぼほぼ諦めました。や~こう表明するのって勇気がいるなぁ・・・。
あ、とはいえ、諦めたのは過去の読了記事だけです。これからの分は、更新する気満々でございますです、はい。

そんなこんなの2016年の読書ですが。読了したのは113冊。月平均は9冊。
2015年よりは数冊上回ったものの、この数字はなんとも・・・。それでも、素晴らしい本との出会いは、例年と変わらず。泣いたり、笑ったり、怒ったり、泣いたり、もやもやしたり、泣いたり・・・と、充実した読書生活を送れました。相変わらず、涙腺は緩かったですねー(笑)

ということで、BEST10をば。
・・・と思ったら、記事にしてない本が多いなぁ。この作品たちだけは感想記事をUPしたいな。



1.蜜蜂と遠雷(恩田陸)

文句なしの1位。
ピアノコンクールを舞台にした物語。最初はボリュームに慄いたけれど、読み始めたら、なんのその。一気読みペースで読み切りました。


2.東京會舘とわたし(上・下)(辻村深月)

「東京會舘」を舞台にした連作集。戦前から平成へと様々な人々が描かれ、笑ったり、涙したり。辻村作品だけどキリキリと古傷が痛むような思いはせずに読了できた。優しく温かいお話でした。


3.殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件(清水潔)

「文庫X」として手にした本。普段なら手に取らないノンフィクションものだったけど、読み始めたらページを繰る手を止められなかった。かなり考えさせられるし、ムラムラとした怒りとともに読了。文字(ペン)の力というものを、すごく感じた1冊でした。


4.桜風堂ものがたり(村山早紀)

書店を舞台にした物語。村山作品らしく、鋭く容赦なく、でも、それをすっぽりと覆ってくれる優しさと強さを感じられた1冊でした。本を取り巻く厳しさも感じられ、地元本屋さんに出かけようと思ったりもしたのでした。


5.残り者(朝井まかて) 

開城を翌日に控えた江戸城大奥。皆が立ち去った後に、様々な理由で居残っていた人々を描いた連作集。読みながら、私もこの中に混ざりたーい!と、不謹慎ながら思ったのでした。後日談も良かったなぁ。


6.象は忘れない(柳広司)

東日本大震災。その時、福島で暮らしていた人々のその後を描いた連作集。文章の端々から伝わってくる怒り。そんな”怒り”に圧倒された1冊でした。


7.よっつ屋根の下(大崎梢)

4人家族が、ある事情から離れ離れに暮らすことになった。それぞれの家族が語る思いを描いた連作集。ラストは予想外だったけど、破たんしかけていた家族が絆を取り戻したことが分かって、良かったなぁと心からホッとしました。家族の形はそれぞれで、その家族が繋がっていればいいんだよ、と思ったのでした。

8.やがて海へと届く(彩瀬まる)

東日本大震災で行方不明になったまま帰らぬ人。その人を取り巻く人々の物語。誰が正解とはいえないし、どの人の気持ちも痛いほど分かって、切ないお話でした。でも、それぞれが前向いて歩いていこうとする姿が見れるラストで良かったです。


9.世界の果てのこどもたち(中脇初枝)

第二次世界大戦中の満州で出会った3人の少女たちが戦争に翻弄されながらも再会するまでの物語。こういう運命を生きた少女たちが沢山いたんだろうと思うと、なんとも言えない気持ちになります。戦争を知らない私ですが、こういう書物を読むことで戦争とはどういうものなのかを少しでも感じることができる。”感じること”が、とても大切なんだと改めて思いました。


10.魔導の系譜(佐藤さくら)

新人作家さんによるファンタジー。友人に勧められて手にしたんだけど、勧めてくれたことに感謝した1冊。ボリュームには躊躇したけど、読みだしたら止まらなくなりました。2016年に読んだ初読み作家さんの中ではダントツ。続編が待ち遠しい!



◆次点
・人魚の眠る家(東野圭吾)
・ウエディングドレス(玉岡かおる)


どちらも甲乙付けがたかった。この2冊と10位の佐藤作品で悩んだんだけど、予想外の面白さだったということと、今後への期待も込めて、こういう結果になりました。


◆選外
・コンビニたそがれ堂 祝福の庭(村山早紀)
・スクープのたまご(大崎梢)


ランキングの中に同じ作家さんの作品は1冊だけという、Myルールで選外にした作品。どちらもワタクシの涙腺を刺激しまくった1冊でした。




2017年は、せめてランキングに入る作品ぐらいは、ちゃんと感想記事を書けるようにしようと思います。・・・って、かなり低い目標ですが。

こんなダメダメなブログですが、どうか2017年もお付き合い頂けると嬉しいです。
様々な本のお話ができますように。どうぞ宜しくお願いいたしますm(__)m



(2017.01.08)
ラベル:読書記録
posted by すずな at 17:14| Comment(10) | TrackBack(4) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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