2017年01月27日

みかづき(森絵都)

昭和36年、千明と吾郎が始めた学習塾。時代に翻弄されながらも親から子、そして孫へと三世代にわたって受け継がれていく思い。塾の歴史と教育という名の子どもたちへの愛情が紡がれていく。

かなりのボリュームというのもあり、図書館の返却期限内に読み終わらずに一度、返却。予約を入れ直して、ようやく読めました。再挑戦しようか迷ったんですが、読んで良かった!と心から思った1冊でした。

塾の歴史を辿りつつ、一つの家族の歴史が語られるお話で、とても読み応えがありました。最初は、の~んびりした印象だった”塾”が、時代の流れと共に変わっていく。競争の激化や国(学校教育)と相容れない姿は、そのまま家族の関係を写すかのよう。段々、ピリピリとしたものに変わっていくことに、ドキドキハラハラと不安を覚えたりもしました。

理想を追い求める吾郎と、”経営”というスタンスを持ち続ける千明。二人の言い分は、どうしたって噛み合わなくなっていく。もちろん、塾といえども”経営”には変わりないので、理想だけ追い求めてもいけないと分かっているんだけど、読んでいると、どうしても、千明ではなく吾郎に肩入れして読んでしまいました。
ただね、塾講師としての吾郎は尊敬できるけど、私人としての吾郎にはちょっとなぁと思わずにはいられない。今なら、きっと保護者につるし上げられてるんじゃないかと思うんだけど・・・;;;

物語は子供達世代に移り、いつしか、孫の一郎を主軸としたお話に。
途中、どうなることかと思いましたが、最後にタイトルの「みかづき」の意味が語られる場面では、思わずジーンとして涙腺が緩んでしまいました。

うん、良かった。。。


(2017.01.18 読了)




みかづき
集英社
森 絵都

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ラベル:読書 著者(ま)
posted by すずな at 12:56| Comment(2) | TrackBack(2) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

サブマリン(伊坂幸太郎)

チルドレン」の続編。

ということだったんですが、「チルドレン」ってどんなお話だっけ?なレベルの私の記憶力;;;まぁ、読めば分かるか!と開き直って読みだしてすぐに「あ、あれだ~♪」と思い出して喜びました。そうそう、家裁調査官の陣内!彼、いい味出してて好きだったんだよねぇ~とホクホクしながら読み始めたのでした。
てか、それなら覚えとけ!って感じですけどね(笑)

前作は短編集でしたが、今回は長編。語りは家裁調査官の武藤。陣内は上司としてまたコンビを組んでるのが嬉しい。そして、相変わらず破天荒な陣内でした(笑)でも、一本筋が通ってて、いいなぁ、こういう上司を持つ武藤が羨ましいぞ、と思ったりもしたんですが、実際にこういう上司と付き合うことになったら、きっと私はムカついてばかりで彼の良さを理解出来ないままで終わるんじゃないかと思ったりもして・・・。人を見る目を磨かなければ!と、思ったのでした。
・・・って、話が逸れた(笑)

武藤と陣内が関わることになった少年。無免許運転での死亡事故。一見、単純な事故のように思えたものが、一転二転・・・していく。関係なさそうだったピースが集まってきて、それらが合わさって最後にはピシリとハマル様は、さすが伊坂作品でした。

ただ、なんともやるせない気持ちにもなりましたけどね。罪は罪だと思うし、どんな事情や想いがあるにしても、超えちゃいけない一線はあると思う。でも、でも・・・と、なんとも割り切れない気持ちになるのは、どうしようもない。「被害者」「加害者」という言葉だけで、ひと括りには出来ない、してはいけない、ものなんだなぁと、そんなことを改めて感じたのでした。

「その電話、どうか!」と願わずにはいられないラストでした。どうなったか気になるけれど、ご都合主義でもなんでもいいので、良いお知らせだったことを祈るばかり。。。


(2017.01.15 読了)





サブマリン
講談社
伊坂 幸太郎

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ラベル:読書 著者(あ)
posted by すずな at 05:25| Comment(4) | TrackBack(2) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月22日

八月は冷たい城(恩田陸)

夏流城(かなしろ)での林間学校に初めて参加する光彦(てるひこ)。参加させられる理由は知っていたものの、「みどりおとこ」に対する疑念も含め様々な思いを抱えたまま城に到着すると、そこには一緒に過ごす少年と同じ数の首から折られたひまわりの花が並べられていて・・・。

女の子が主人公の「七月に流れる花」と対になった作品。七月~の記事でも書きましたが、こちらの八月~が下巻(または後編)みたいな感じかな。時期的には七月~と同じなんだけど、こちらにはその七月~のネタバレが思いっきり書かれてるんですよね・・・。

七月~も訳が分からずドキドキして怖かったけど、八月の方が断然、怖かった!血まみれとか、鎌持ってとか、食べちゃうとか、もうね、ぎぇぇぇっ!やーめーてーっ!!と叫びだしたくなりましたよ。これ、子供向けの作品なんだけど、大丈夫なの?私だったら、トラウマになっちゃうよ、トイレ行けなくなっちゃうよーぅ!な、レベルなんですけど・・・。七月~は子供向けのミステリーって感じでしたが、こちらは大人向けホラーって感じでした。あ、だからって、ミステリー要素が無いってことではなくて。そちらもバッチリ。そういう部分は、すごく楽しませてもらいました。

もちろん、夏流城で過ごすという意味はもちろん、あれこれの真相が分かった時には、とても切なく、やるせない思いにもなりました。特に幸正の気持ちを思うと・・・ね。言葉が出ませんね。
子供向けにしては、本当に切なく辛いお話だよなぁと思いますが、胸にグッと迫ってきて、読み応えのあるお話だと思いました。


(2017.01.10 読了)







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ラベル:読書 著者(あ)
posted by すずな at 15:45| Comment(2) | TrackBack(1) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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