2016年12月29日

蜜蜂と遠雷(恩田陸)

国際ピアノコンクールを舞台に、才能溢れるコンテスタント(演奏者)達の姿を描いた物語。

500ページを超える分厚さに加えてページを開くと2段組!それを目にした瞬間、思わずクラクラ~っと目眩がしましたよ(笑)果たして無事に読み終えることが出来るのだろうか・・・と不安が過ぎったのが正直なところ。ところが!読み始めたら、もうね、止められない止まらない!状態でして。一気に読了しちゃいました。とはいえ、さすがに一晩では無理で2日がかりでしたけどね。いや~面白かった!

養蜂家の父と各地を転々としながら暮らしている16歳の風間塵。天才少女と呼ばれながら母の死を機にピアノから遠ざかっていた20歳の栄伝亜夜。ジュリアード音楽院学生でコンクールの本命である19歳のマサル。音大出身で楽器店で働く28歳の高島明石。この4人が織り成す音(ピアノ)の世界。

すっごかった。
文字を追っているのに、演奏が聴こえるようで、私も一緒に彼らのピアノの音に酔いしれることができました。ピアノ演奏を聴いて景色が広がる、目の前に次々と様々な景色が広がっていく。どうしたら、そんな風にピアノを聴けるんだろう。私には無い感性。なので、想像するのも難しいと思うんだけど、読んでいると、私の目の前にそんな景色がふわぁ~っと広がってピアノの音が頭の中を満たしていくようでした。とても心地よく、ワクワクして、ドキドキして、もうね、うっわぁーーーーっと感情が高ぶっていくんですよ。”読書”ではなく、”演奏”で大興奮してる!と、思わず勘違いしちゃいそうになるくらいでした(笑)

物語は予選から始まる。それぞれのピアノ演奏の描写もですが、審査員の思いも描かれていて、それも興味深く面白かった。そして、コンテスタント達を取り巻く人々の想い。コンクールに出場する人だけじゃなく、彼らを取り巻く人々、関わる人々にとっても大きな出来事で、人生を左右することもあるんだなぁと思いました。

予選から本選へと進むに連れて、誰かの演奏が他の演者の演奏を変えていく。お互いが共鳴し合い、刺激し合い、どんどんと深く広く高く膨らんでいく。こういう関係っていいなぁとしみじみ思いました。

お話はコンクールで終わったけれど、彼らの10年後、20年後、30年後・・・と、ずーーーっと追いかけていきたい、どんな関係を築いていくのだろう、どんな演者になっていくんだろう、そんな気持ちにもなりました。恩田さん、続編を書いてくれないかなぁ・・・。


最近の恩田作品はラストで拍子抜けさせられることが多かったんだけど、この作品はそんなことはなく。読んだ後の充実感が半端なかった!

本当に面白かった!大満足!!




(2016.11 読了)





蜜蜂と遠雷
幻冬舎
2016-09-23
恩田 陸

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2016年12月07日

素顔のフィギュアスケーター(宮本賢二)

BSスポーツ専門テレビ局J SPORTSにて放映されているTV番組『フィギュアスケーターのオアシス♪KENJIの部屋』を誌上にまとめたもの。

振付師の宮本賢二氏がスケーターをゲストに迎えて繰り広げられるトークの数々。宮本氏相手だからこそ、聞けるお話があったりして、ほぅほぅほくほくと楽しく読めました。ただ、ほとんどがネット上で読んでいたり、ちょっと前の対談だったりで、タイミング的には「ん~~~;;;」と思ったりしたものもありました。まぁ、これはしょうがないことだけどね。

とはいえ、フィギュアスケート好きには、とっても楽しめる1冊だと思います。この選手は、こんなことを思ってるのか、えーっ、こんな人だったの!?とか、あの時はそんな思いでいたのかぁ・・・、などなど。すごく興味深く読みました。

個人的には、もう一度、髙橋大輔さんと対談して、今の心境とかを聞いていただけると嬉しいなぁ、なんて思ったり。




1.鈴木明子
2.髙橋大輔
3.織田信成
4.小林宏一
5.村上佳菜子
6.本郷理華
7.宇野昌麿
8.村上大介
9.小塚崇彦
10.宮原知子


(2016.11.13 読了)







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朝が来るまでそばにいる(彩瀬まる)

流産したり、愛する人を亡くしたりと、弱ったり、傷ついたりした時に、現れるモノ。人は、救いを求め縋りつく・・・。そんな人々を描いた短編集。

うわー怖かった。ぞわぞわというよりも、しんしんと怖かった。

「ゆびのいと」は読んだことがあったんだけど、どこで読んだのかなぁ。何かのアンソロジーかな。
追い詰められた時に、目の前に縋るものが現れたら誰だって縋ってしまうんだろうと思う。逃げ出したい現実から目を逸らし、優しく頭を撫でてくれるものに包まれていたいと願うのだって同じ。でも、そうしている為には代償を払わなくてはいけなくて。永遠にいられるのかというとそうでもなくて。人はやはり、どうあっても前に進んでいくしかないのだなぁと、そんなことを思いました。

寄り道も必要な時だってある。大きな代償を払わなきゃいけなくなる時だってある。それでも、少しずつ抜け出せますように。進んでいけますように。自分自身に言い聞かせるように、そう願いつつ読了しました。




・君の心臓をいだくまで
・ゆびのいと
・眼が開くとき
・よるのふち
・明滅
・かいぶつの名前


(2016.11.13 読了)




朝が来るまでそばにいる
新潮社
彩瀬 まる

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ラベル:読書 著者(あ)
posted by すずな at 11:21| Comment(2) | TrackBack(1) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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