アウシュビッツ強制収容所内の学校と、そこで図書係として8冊の本を命がけで守った14歳の少女の実話に基づく物語。
強制収容所内に学校。それも、図書係!そして、14歳の少女が命がけで守った8冊の本!!という、なんともワクワクするような単語に惹かれて読み始めました。
・・・が、舞台はアウシュビッツ。
日々、大勢の人々がガス室に送られる様子や、過酷な労働と劣悪な環境の描写の数々に、圧倒され、そして、漂う重苦しさに、だんだんと気分が沈んでいきました。実は、何度か読むのを止めようかとさえ思いました。正直、読み進めるのが辛かった。でも、もうちょっと読めば、もしかしたら・・・と、何度も心を奮い立たせて、なんとか読みきる事が出来ました。
もちろん、少女や教師たちの勇気溢れる行動にはハラハラドキドキさせられたし、生きるか死ぬかの瀬戸際においても「本」を守ろうとする姿に、改めて「本」の存在意義や大切さを感じて胸が熱くなったりもしたんですよ。そして、あんな過酷な状況の中にあっても、人は恋をしたり、年相応の”娘”であったりするのだなぁと、ちょっぴり心が踊ったりもしたのも事実だし、少女の「「本を開けることは汽車に乗ってバケーションに出かけるようなもの」という思いにも共感したりもしました。
でも、それよりも、ずっとずーーーっと、”アウシュビッツ強制収容所”という場所の持つ、悲惨さ、理不尽さなどが全体を覆いつくし、重苦しく、それを、どうやっても拭い去ることはできないままでした。なんとか、気持ちを切り替えられれば良かったんでしょうけど、私には難しかったのです。
だからと言って、読まなければ良かったとは思いません。読めて良かった、と素直に思います。
(2016.08 読了)