八咫烏シリーズ5作目。
とはいえ、主人公は女子高校生で舞台も山内ではなく現代。前作を読んだときの「次巻お知らせ」みたいな告知で、雪哉とかは出てこないんだろうなぁと予想してたものの、まさかの”現代””女子高校生”にビックリでした。でも、これはね、このシリーズにとっては必要なお話だったなぁと思いました。あの世界って、そういうことだったのか!と予想外の展開に、驚きと喜びがない交ぜになり夢中で読みましたよ~。
女子高校生の志帆が、一緒に暮らす祖母に内緒で向かったのは、かつて祖母が母を連れて逃げたという山奥の村。そこで志帆は、村祭りの儀式に巻き込まれ・・・。
山内とは、八咫烏とは、大猿とは、という、今までシリーズで語られてきた世界の全容が明らかになるんですが、いや~もうね、予想を超える展開に、ただただ驚くばかり。おまけに、過去の話かと思っていたら、なんと、前作から1年後くらいの話だったんですよねぇ。読んでる間中、は?はぁ!?えぇーーーっ!と、心の中だけでなく、時には本当に声が出ちゃったりもしたのでした。中でも一番驚いたのは、八咫烏と大猿の関係かな。天敵かと思ってたら、実際はそこまでではない、みたいな感じになってて・・・はぁ。ホントにびっくり。
雪哉は登場しなかったけれど、現金烏である奈月彦は登場。まぁ、あくまでも脇役だけどね。でも、ちょっとテンション上がったかな。活躍というよりも、ちょっとダメダメキャラだったのは残念だったけど(笑)それでも、謎を解くために必死になる姿には声援を送りました。
*****
ちょっとネタバレ
*****
それにしても、志帆の最後の選択は意外だったなぁ。あれは、母としての愛情なの?それとも・・・?なんか納得できないというか腑に落ちないというか。志帆にあの選択をさせる為に、彼女の性格がずっと描かれていたのは分かるんだけど、それでも、なんだかスッキリしなくて。もっと何年も一緒に暮らしてきたのなら分かるけど、そこまでの月日は流れていないと思うんだよねぇ。過去の玉依姫のように、自分で産んだ訳でもないのに、”あの状況(無理やり連れてこられた)”で、10代の女の子がそこまでの愛情を持てるものなのかな・・・。
*****
と、ちょっと微妙な心境になりつつ、面白かったのは面白かったので!次巻が、めちゃくちゃ楽しみです。
ただ、山内の成り立ちとか分かったら、これは、どんな結末を迎えるのだろう・・・と一抹の不安も湧いてきます。山神もあんな風になっちゃったし。どっちにしろ、ドキドキワクワク首を長くして待ってますよー!
(2016.08 読了)
2016年09月21日
2016年09月10日
あきない世傳金と銀<二>早瀬篇(髙田郁)
シリーズ2作目。
1作目の最後で、女癖の悪い若主人(あほぼん)と結婚させられそうになってたので、それがどうなることやら・・・と、ドキドキしながら読み始めました。
*****
ネタバレ気味。
*****
・・・まさか、本当に結婚させられるとは!ビックリというか、ガックリだったんですけどね。1巻の感想で三男坊に助けを求めたりしないかなぁと希望的観測を書いてたんですが、見事に、あっさりと、裏切られちゃいました。すごくすごーく残念でした。でも、あの頃の女性が、それも女衆が、断れるハズがないかぁとも思ったり。おまけに、あそこまで周りを固められたらねぇ・・・。読みながら、「大人って・・・」という気分になりました。
呉服仲間の品定めの場面は、ハラハラしつつ、どうやって乗り越えるのかとワクワク。「商売往来」を読み上げる様には読みながら拍手喝采を送りたくなりました。
それにしても、心配していたあほぼんの幸の扱いにはホッとさせられました。”女好き”ということが、こういう形で良い方向にいくとはね。でも、子供は成長する。少女から女性へと。幸がどんどんオトナになって、それも美人さんになっていく様子が描かれるたびに、そろそろか・・・とヤキモキしました。
それが!まさかまさかの展開に唖然。そうきたかーーっ!と叫びたくなりましたよ。そして怒涛のラスト。まぁ、その前から前振りはあったけれど、予想だにしなかったですよ。でも、彼なら幸の商売人としての素質も認めてることだし、何よりも好ましく思ってるみたいだし、あほぼんよりは良いのかなぁと思ったんだけどね。でも、幸の意思というか気持ちはどうなるんでしょうね。それを思うと切なくもあります。
・・・ただ、3巻でそれがどう展開していくのか、すんなり行くのかどうなのか、わかりませんねぇ。すごく気になります。
それにしても、番頭さんの身に起こったのはまさかの事態でした。最後の展開で、こうなる為の伏線だったのか!と納得はしましたが、なんともやるせない気持ちになったのは事実。もうちょっと他の方法がなかったのかなぁと思わずにはいられませんでした。だって、番頭さん、好きだったんですもん!出番が減って、とても残念。・・・という読者のワガママでした(笑)
とにもかくにも、3巻が待ち遠しい!
(2016.08 読了)
1作目の最後で、女癖の悪い若主人(あほぼん)と結婚させられそうになってたので、それがどうなることやら・・・と、ドキドキしながら読み始めました。
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ネタバレ気味。
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・・・まさか、本当に結婚させられるとは!ビックリというか、ガックリだったんですけどね。1巻の感想で三男坊に助けを求めたりしないかなぁと希望的観測を書いてたんですが、見事に、あっさりと、裏切られちゃいました。すごくすごーく残念でした。でも、あの頃の女性が、それも女衆が、断れるハズがないかぁとも思ったり。おまけに、あそこまで周りを固められたらねぇ・・・。読みながら、「大人って・・・」という気分になりました。
呉服仲間の品定めの場面は、ハラハラしつつ、どうやって乗り越えるのかとワクワク。「商売往来」を読み上げる様には読みながら拍手喝采を送りたくなりました。
それにしても、心配していたあほぼんの幸の扱いにはホッとさせられました。”女好き”ということが、こういう形で良い方向にいくとはね。でも、子供は成長する。少女から女性へと。幸がどんどんオトナになって、それも美人さんになっていく様子が描かれるたびに、そろそろか・・・とヤキモキしました。
それが!まさかまさかの展開に唖然。そうきたかーーっ!と叫びたくなりましたよ。そして怒涛のラスト。まぁ、その前から前振りはあったけれど、予想だにしなかったですよ。でも、彼なら幸の商売人としての素質も認めてることだし、何よりも好ましく思ってるみたいだし、あほぼんよりは良いのかなぁと思ったんだけどね。でも、幸の意思というか気持ちはどうなるんでしょうね。それを思うと切なくもあります。
・・・ただ、3巻でそれがどう展開していくのか、すんなり行くのかどうなのか、わかりませんねぇ。すごく気になります。
それにしても、番頭さんの身に起こったのはまさかの事態でした。最後の展開で、こうなる為の伏線だったのか!と納得はしましたが、なんともやるせない気持ちになったのは事実。もうちょっと他の方法がなかったのかなぁと思わずにはいられませんでした。だって、番頭さん、好きだったんですもん!出番が減って、とても残念。・・・という読者のワガママでした(笑)
とにもかくにも、3巻が待ち遠しい!
(2016.08 読了)
アンマーとぼくら(有川浩)
かりゆし58の「アンマー」という曲に着想を得て書かれた物語。
かりゆし58の「アンマー」ですか・・・。うーん、聴いたことないなぁ。てか、かりゆし58の曲自体をほとんど知らないよ。ということで、聴いてから読んだ方がいいのかなとネット通販でポチッてアルバム入手。結果、「アンマー」を聴いて泣いてしまった。
ということで、これはまた「泣け泣け!」なお話なのかなぁと覚悟して読み始めました。
休暇で沖縄に帰ってきたリョウが継母である「おかあさん」と旅する3日間。沖縄でガイドをしている「おかあさん」と旅をしながら不思議な体験をするリョウ。過去と現在を行き来しつつ過ごした3日目に辿り付いたのは・・・。
*****
ちょっとネタバレ気味です。
念の為、予防線をば。
*****
・・・そうだった。有川さんってデビュー作が「塩の街」だったんだよ。突然、塩が降ってきて人が死んじゃうっていうお話だったよ。と、そんなことを思い出したり。コロボックルはファンタジーですが、その前は劇団や児童養護施設などを舞台にした小説が続いていたので、自然とそういう意識が薄れてたんでしょうね。冒頭部分を読みながら「あ、そういうことかな・・・」と予想がついちゃった部分があって、それと同時に「そうだったよ、デビュー作は塩が降ってきたんだったよ~!」と、そんなことを思ったのでした。
そして、冒頭で予想がついちゃった部分は、「やっぱりそういうことだよね」と確認しながら読んだような、そんな感じの読書になったんですよね。最後も「やはり、そうきたか」という展開でして、そういう意味ではちょっと意外性はなかったかな。
「泣くぞ」と、覚悟して読み始めたものの、だからなのか、実は”号泣”という程ではなかった。もちろん、涙腺が緩んで、うるっときたり、ぽろっとしたりはあったけど、タオル握り締めて・・・ということはなかったかな。有川作品にしては、そこまで心を揺さぶられることなく読了しました。だからといって面白くなかったということではないんですよ。タイトル通り、親子愛がじわ~んと沁みる、母親の愛に包まれているような物語でした。そして、装丁通り、沖縄の海に守られているような物語でもありました。
・・・と、読了してすぐは、そのくらいの感想だったんですよね。
母親の愛情がメインではありましたが、父親の写真でリョウが号泣するシーンがあって、まぁ、もちろん泣かされたんだけど、でも、ちょっと面食らったりもしたんですよね。え、そっち?母の愛だけじゃなくて、父の愛もなの!?みたいな・・・。どうして、このシーンがこの物語で語られるのか、イマイチしっくりこなくて。なので、涙腺を緩ませながらも、思わず、冷静に突っ込みをいれたりもしたのでした。
おかあさんと旅を続けるリョウが過去に思いを馳せ、物語は現在と過去を行きつ戻りつしながら進んでいく。いくら過去を変えたくても変えられるものではない。「どうしてあの時」「何故あんなことを」悔やんでも悔やみきれない過去を人は誰でも、一つや二つは持ってるのではないかなと思います。私も然り。リョウの過去を読みながら、自分の過去のアレコレが浮かんでは消え、消えては浮かび、様々な思いが去来しました。でも、過去は変えられない。
それなのに、沖縄が奇跡を起こす。
でも、おかあさんのことではなく、父親のこと、なんですよね。最初は、それにすごい違和感があって。読み終わって、うーん、良かったんだけど、でも何だかスッキリしないなぁ。かりゆし58の「アンマー」を聴いた時の方がグッときて心を揺さぶられたなぁ。やっぱ、曲を先に聴いたことで先入観を植え付けちゃって拙かったのかなぁ。と、そんな風にあれこれ思い返しつつ「アンマー」を聴いていたらフト思ったんですよ。結局のところ、奇跡を起こしたのは沖縄ではなく、おかあさんだった、おかあさんの愛だった、ということなのかなと。そう思ったら、すんなりと受け入れられて、そして、ん?まてよ。てことは、父親の写真のエピソードも、おかあさんの愛が、すれ違っていた父親と息子の気持ちを結んだと、そう考えるとすごくしっくりくるなぁと、そこでようやく得心がいったというかね、タイトルと物語が”ピタッとハマった”のでした。
・・・遅いよ、ジブン;;;
ということで、読んでる時はアレコレ雑念が多くてそこまで感情を揺さぶられることはなかったんですが、読了してから、じわじわじわじわと心に沁みてきて、うわぁ~おかあさーん!と涙腺決壊で・・・。
もうね、ホント遅いよ、ジブン。。。
反省しつつ、沖縄の碧く染まる海に包まれた本を撫で回したのでした。
そうそう。
この作品は、主人公がおかあさんと二人で沖縄の観光地を回るというお話なので、「県庁おもてなし課」の沖縄版みたいな印象も受けました。沖縄には一度は行ってみたいと思いながら、なかなかチャンスがない。なので、「沖縄行きたーい!行きたいよー!」と心の中で叫びながら読みましたよ。これ、そういう意味では大変、キケンなお話でした。すっごく行きたい。でも、今後の数年間のことを考えると、ちょっとまだ行けないなぁと思う。行きたい気持ちをグッと堪えるのは、なかなかタイヘンでございます。。。
(2016.07.23 読了)
かりゆし58の「アンマー」ですか・・・。うーん、聴いたことないなぁ。てか、かりゆし58の曲自体をほとんど知らないよ。ということで、聴いてから読んだ方がいいのかなとネット通販でポチッてアルバム入手。結果、「アンマー」を聴いて泣いてしまった。
ということで、これはまた「泣け泣け!」なお話なのかなぁと覚悟して読み始めました。
休暇で沖縄に帰ってきたリョウが継母である「おかあさん」と旅する3日間。沖縄でガイドをしている「おかあさん」と旅をしながら不思議な体験をするリョウ。過去と現在を行き来しつつ過ごした3日目に辿り付いたのは・・・。
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ちょっとネタバレ気味です。
念の為、予防線をば。
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・・・そうだった。有川さんってデビュー作が「塩の街」だったんだよ。突然、塩が降ってきて人が死んじゃうっていうお話だったよ。と、そんなことを思い出したり。コロボックルはファンタジーですが、その前は劇団や児童養護施設などを舞台にした小説が続いていたので、自然とそういう意識が薄れてたんでしょうね。冒頭部分を読みながら「あ、そういうことかな・・・」と予想がついちゃった部分があって、それと同時に「そうだったよ、デビュー作は塩が降ってきたんだったよ~!」と、そんなことを思ったのでした。
そして、冒頭で予想がついちゃった部分は、「やっぱりそういうことだよね」と確認しながら読んだような、そんな感じの読書になったんですよね。最後も「やはり、そうきたか」という展開でして、そういう意味ではちょっと意外性はなかったかな。
「泣くぞ」と、覚悟して読み始めたものの、だからなのか、実は”号泣”という程ではなかった。もちろん、涙腺が緩んで、うるっときたり、ぽろっとしたりはあったけど、タオル握り締めて・・・ということはなかったかな。有川作品にしては、そこまで心を揺さぶられることなく読了しました。だからといって面白くなかったということではないんですよ。タイトル通り、親子愛がじわ~んと沁みる、母親の愛に包まれているような物語でした。そして、装丁通り、沖縄の海に守られているような物語でもありました。
・・・と、読了してすぐは、そのくらいの感想だったんですよね。
母親の愛情がメインではありましたが、父親の写真でリョウが号泣するシーンがあって、まぁ、もちろん泣かされたんだけど、でも、ちょっと面食らったりもしたんですよね。え、そっち?母の愛だけじゃなくて、父の愛もなの!?みたいな・・・。どうして、このシーンがこの物語で語られるのか、イマイチしっくりこなくて。なので、涙腺を緩ませながらも、思わず、冷静に突っ込みをいれたりもしたのでした。
おかあさんと旅を続けるリョウが過去に思いを馳せ、物語は現在と過去を行きつ戻りつしながら進んでいく。いくら過去を変えたくても変えられるものではない。「どうしてあの時」「何故あんなことを」悔やんでも悔やみきれない過去を人は誰でも、一つや二つは持ってるのではないかなと思います。私も然り。リョウの過去を読みながら、自分の過去のアレコレが浮かんでは消え、消えては浮かび、様々な思いが去来しました。でも、過去は変えられない。
それなのに、沖縄が奇跡を起こす。
でも、おかあさんのことではなく、父親のこと、なんですよね。最初は、それにすごい違和感があって。読み終わって、うーん、良かったんだけど、でも何だかスッキリしないなぁ。かりゆし58の「アンマー」を聴いた時の方がグッときて心を揺さぶられたなぁ。やっぱ、曲を先に聴いたことで先入観を植え付けちゃって拙かったのかなぁ。と、そんな風にあれこれ思い返しつつ「アンマー」を聴いていたらフト思ったんですよ。結局のところ、奇跡を起こしたのは沖縄ではなく、おかあさんだった、おかあさんの愛だった、ということなのかなと。そう思ったら、すんなりと受け入れられて、そして、ん?まてよ。てことは、父親の写真のエピソードも、おかあさんの愛が、すれ違っていた父親と息子の気持ちを結んだと、そう考えるとすごくしっくりくるなぁと、そこでようやく得心がいったというかね、タイトルと物語が”ピタッとハマった”のでした。
・・・遅いよ、ジブン;;;
ということで、読んでる時はアレコレ雑念が多くてそこまで感情を揺さぶられることはなかったんですが、読了してから、じわじわじわじわと心に沁みてきて、うわぁ~おかあさーん!と涙腺決壊で・・・。
もうね、ホント遅いよ、ジブン。。。
反省しつつ、沖縄の碧く染まる海に包まれた本を撫で回したのでした。
そうそう。
この作品は、主人公がおかあさんと二人で沖縄の観光地を回るというお話なので、「県庁おもてなし課」の沖縄版みたいな印象も受けました。沖縄には一度は行ってみたいと思いながら、なかなかチャンスがない。なので、「沖縄行きたーい!行きたいよー!」と心の中で叫びながら読みましたよ。これ、そういう意味では大変、キケンなお話でした。すっごく行きたい。でも、今後の数年間のことを考えると、ちょっとまだ行けないなぁと思う。行きたい気持ちをグッと堪えるのは、なかなかタイヘンでございます。。。
(2016.07.23 読了)