短編集。
なかなか読めなかったんですが、ようやく読めました。ただ、楽しみにしてたのに2編は既読でして。まぁ、短編集ではよくあることなんですけどね。でも、なんだかちょっぴり損した気分になっちゃうのはしょうがない。
・浜田青年ホントスカ
アンソロジー集「蝦蟇倉市事件1」で既読。
伊坂さんらしくって、とっても面白かった!というのは覚えてたんですが、オチは自分で創造しちゃってたようで(笑)あ、あれ?浜田青年って・・・そっちだっけーっ!?と、またまた驚かされてしまいました。うーむ、自分の記憶力の弱さに呆れちゃいますが、そのお陰で楽しめたの良し。前向き、前向き(笑)
・ギア
最初、ちょっと意味が分からなかったんですが、だんだんと理解していくと、じわっと怖さが…。結局「セミンゴ」って何だったのかなぁとは思いますが、追っかけられてる図を想像するとゾッとしますね。個人的には宮崎アニメ「風の谷のナウシカ」の”玉蟲の暴走”シーンが浮かんだんですけどね。
・二月下旬から三月上旬
これ、イマイチ理解できなかった作品でした。日付は2~3月だけど、同じ年じゃなくて、どれも違う年に起こった事って認識でいいんですよね?・・・って、誰に聞いてるやらですけど(笑)そこら辺はなんとか理解できたんですが、主人公の友人として登場する坂本ジョンという人のことがイマイチ分からなくって。途中、主人公の妄想が創り出した人物なんだろうと思ってたんですが、最後の最後に、あれ?実体ありなの?え、どういうこと?という感じでして。・・・えっと、彼は一体、なんだったんでしょうか?
・if
人は誰しも一度くらいは「もし、あの時・・・」と思ったことがあるんじゃないかと思います。このお話もその手のお話だと思ってたんですが、最後の最後に見事にひっくり返されてしまいまして、嬉しい驚きでした。でも、それってちょっと都合が良すぎないかい?と突っ込みたくもなったり。
・・・と思っていたら、最後の短編で「そういうことだったのか!」な真相が明かされて、これまた驚かされました。伊坂さん、上手いなぁ・・・。
・一人では無理がある
始まりは剣呑な感じでドキドキハラハラな展開だったのに、いきなり「サンタクロース業」(?)の会社のお話になって、どういうこと??と思いながら読み進めたら、まさかまさかの展開で、最終的には最初の事件に繋がっていく。これぞまさに伊坂さん!というお話で、とっても楽しませてもらいました。面白かった~。松田さんってば本当に素晴らしい!・・・まぁ、本人は不本意なんでしょうけどね(笑)
・彗星さんたち
お仕事小説アンソロジー集「エール!3」で既読
新幹線の掃除を請負っている人々のお話。ちょっと前に話題になった職業なので、それなりに理解してるお仕事ということもあり、既読で印象に残ってたお話ということもあったりして、なんというかね、安心して読めました(笑)でも、やっぱりじわーんと沁みたりするのはさすがですね、伊坂さん。
・後ろの声がうるさい
前6編が一つの世界に繋がるお話。こういうのがラストにくるあたりが、伊坂さんらしいというか、さすが伊坂さん!というか。パチリパチリとピースがはまって繋がっていくのが楽しかった。読みながら上手いなぁと思いました。たまたま隣り合った二人が実は・・・という最後のオチには驚かされたけど、じんわり。でも、どうせなら・・・とは思ってしまったんだけどなぁ。まぁ、それも伊坂さんらしいのかな。
(2015.01.17 読了)
2016年01月26日
2016年01月17日
世にも奇妙な君物語(朝井リョウ)
「世にも奇妙な物語」の大ファンである著者が映像化を夢見て書き下ろした5編の短編集。
へぇ、朝井さんと世にも奇妙な物語かぁ・・・と、最近は全く見ていないドラマに思いを馳せながら読み始めました。うむむむ。面白いのは面白かったんですけどね。短編らしくオチもきっちりしてて、それもちょっとクロいわねぇという感じで、なかなか私好み。ただ、これが朝井作品だと思うと・・・。なんというかね、今まで持っていた朝井作品のイメージとちょっと違ってて、読みながら朝井作品を読んでるという気分にならなかったんですよね。もちろん、これも新しい朝井作品の一面なんだと思えば、それはそれで面白かったし魅力的ではあるんですが、心の準備が整ってなかったという感じです。。。
・シェアハウさない
シェアハウスの面々はなんか訳アリだなーとは思ったんだけど、まさかそんな秘密があったとは!もうちょっと別な訳を想像してて、私なんかまだまだだわ・・・と思いましたです、はい。いやぁ~ゾッとした。怖かったー!
・リア充裁判
読みながら、これ朝井さんだったよね?三崎(亜記)さんじゃなかったよね?と、何度も確認しそうになった。テイストが似てるなぁと感じてしまいました。最後は良かったなぁで終わるかと思ったら、やっぱり終わらないのね;;;というラスト。
・立て!金次郎
うわー。これはめっちゃ風刺が効いてるっていうかね。これって、耳がイタイ人にはかなりイタイんじゃないかなぁ、というオチでした。でも、最近の社会ってこういう風潮があるよね。アル中患者にこの音は・・・ってビールのCMに配慮を求められたりとかさ。なんなんだ、いったい!?と思うことが本当に多くなったと感じる。そんなこと言ってたら、この世の中なんて配慮しなきゃいけない人だらけだよ。前2編と別な意味で怖いわぁと思ったのでした。それにしても、こんな風に右往左往させられる先生たちもホント大変ですね・・・。
・13.5文字しか集中して読めな
もう、これはね、後味最悪。実はね、これはちょっと受け入れられなかった。そんな感じです。もちろん、この主人公がやってきたことを肯定する訳でもないし、どっちかというと嫌悪感を感じる方なんだけど。でも、このオチはちょっとクロ過ぎるっていうかね、子供がここまで腹黒くなると拒否反応がでちゃいます。なんか、いやぁ~な気分になっちゃって楽しめなかったのです;;;
・脇役バトルロワイアル
それまでの4遍を元にした、そうきたかぁ!な1編でした。ここまで分かるように書いてあって大丈夫なの?と、ちょっと心配にもなったり。まぁ、でも面白かったかな。前の短編がアレで気分が沈んでたのが、良い口直しになったって感じでした。これが最後に書かれていて良かった。
この1冊で実際にドラマ化されたら面白そうだなぁと思うんだけど、どうなるのかしら。朝井さんの熱意が伝わればいいですね。それまでには、私も「これも朝井作品」という受け入れ態勢を整えておこうと思います、はい。
(2015.01.13 読了)
へぇ、朝井さんと世にも奇妙な物語かぁ・・・と、最近は全く見ていないドラマに思いを馳せながら読み始めました。うむむむ。面白いのは面白かったんですけどね。短編らしくオチもきっちりしてて、それもちょっとクロいわねぇという感じで、なかなか私好み。ただ、これが朝井作品だと思うと・・・。なんというかね、今まで持っていた朝井作品のイメージとちょっと違ってて、読みながら朝井作品を読んでるという気分にならなかったんですよね。もちろん、これも新しい朝井作品の一面なんだと思えば、それはそれで面白かったし魅力的ではあるんですが、心の準備が整ってなかったという感じです。。。
・シェアハウさない
シェアハウスの面々はなんか訳アリだなーとは思ったんだけど、まさかそんな秘密があったとは!もうちょっと別な訳を想像してて、私なんかまだまだだわ・・・と思いましたです、はい。いやぁ~ゾッとした。怖かったー!
・リア充裁判
読みながら、これ朝井さんだったよね?三崎(亜記)さんじゃなかったよね?と、何度も確認しそうになった。テイストが似てるなぁと感じてしまいました。最後は良かったなぁで終わるかと思ったら、やっぱり終わらないのね;;;というラスト。
・立て!金次郎
うわー。これはめっちゃ風刺が効いてるっていうかね。これって、耳がイタイ人にはかなりイタイんじゃないかなぁ、というオチでした。でも、最近の社会ってこういう風潮があるよね。アル中患者にこの音は・・・ってビールのCMに配慮を求められたりとかさ。なんなんだ、いったい!?と思うことが本当に多くなったと感じる。そんなこと言ってたら、この世の中なんて配慮しなきゃいけない人だらけだよ。前2編と別な意味で怖いわぁと思ったのでした。それにしても、こんな風に右往左往させられる先生たちもホント大変ですね・・・。
・13.5文字しか集中して読めな
もう、これはね、後味最悪。実はね、これはちょっと受け入れられなかった。そんな感じです。もちろん、この主人公がやってきたことを肯定する訳でもないし、どっちかというと嫌悪感を感じる方なんだけど。でも、このオチはちょっとクロ過ぎるっていうかね、子供がここまで腹黒くなると拒否反応がでちゃいます。なんか、いやぁ~な気分になっちゃって楽しめなかったのです;;;
・脇役バトルロワイアル
それまでの4遍を元にした、そうきたかぁ!な1編でした。ここまで分かるように書いてあって大丈夫なの?と、ちょっと心配にもなったり。まぁ、でも面白かったかな。前の短編がアレで気分が沈んでたのが、良い口直しになったって感じでした。これが最後に書かれていて良かった。
この1冊で実際にドラマ化されたら面白そうだなぁと思うんだけど、どうなるのかしら。朝井さんの熱意が伝わればいいですね。それまでには、私も「これも朝井作品」という受け入れ態勢を整えておこうと思います、はい。
(2015.01.13 読了)
2016年01月10日
人魚の眠る家(東野圭吾)
面白かった。
…という言葉を使っていいのかどうか、ちょっと躊躇しちゃいますが。でも、先が気になって最後まで夢中で読んだんですよね。ラストも、最近の東野作品のように、うーーん;;;と肩すかし感を味わうこともなかったし。なので、やっぱり、面白かった!そう素直に言いたい。
6歳の娘がプールの事故で脳死状態となってしまった。その時、夫婦の選択は。そして、彼らを取り巻く人々の思いは・・・。
脳死、子供の臓器提供、延命治療、そして最先端医療技術。重いテーマに、様々な人々の想いが絡み合い、読んでいくうちに、果たしてどれが最良の方法なのか、選択なのか、分からなくなりました。
私自身は、もう随分前に、尊厳死協会に登録をし、臓器提供意思カードも所持しています。そして、もちろんのことながら、それらのことについて家族とも話し合い、それぞれの意志も確認しています。なので、もし私がそうなったら、家族がそうなったら、この物語の家族のように迷うことはないのかなぁと思ってました。私が脳死状態になったら、今でもその意志に変わりはありません。でも、家族が実際にそうなったら、どういう思いが胸の内に広がっていくんだろうと、ちょっと分からなくなってしまいました。握りしめた手がピクリと動いたら。動いたと感じてしまったら・・・。この両親のように、臓器提供に踏み切れるのかどうか。自信が無くなってしまったというのが正直な気持ちです。
でもね、この家族のように機械で娘の身体を動かそうとか、それは思わないかなぁ。なんだかそれはちょっと違うような気がする。娘のことを考えて、というよりも、親のエゴのような気がしてならなかった。なので、その辺は祖父の気持ちにすごく共感しました。
これはどういうラストになるんだろうと思っていたんですが、まさかの母親の行動にビックリ。もし、本当に刺していたら、どういう判断がなされたんでしょうね。司法的には結論付けられても、心情的には・・・。うーん、難しい問題ですね。そして、ずっと続くのかと思いきや、最期は呆気なく訪れる。ご両親、特に母親は、やれるだけのことはやったという思いもあったのかなと思いますが、今度は淡々と受け入れていく様が印象的でした。
重いテーマであったにも関わらず、なんとも清々しいような、そんな気持ちの読後感。自分でも不思議ですし、その気持ちをうまく言葉にできません。
何が正しいかとは今でも言えませんが、自分自身のことも含めて、深く深く考えさせられた作品でした。それにしても、東野さんはよくこういうお話を書けたなぁと、思ってしまいました。
(2015.01.08 読了)
…という言葉を使っていいのかどうか、ちょっと躊躇しちゃいますが。でも、先が気になって最後まで夢中で読んだんですよね。ラストも、最近の東野作品のように、うーーん;;;と肩すかし感を味わうこともなかったし。なので、やっぱり、面白かった!そう素直に言いたい。
6歳の娘がプールの事故で脳死状態となってしまった。その時、夫婦の選択は。そして、彼らを取り巻く人々の思いは・・・。
脳死、子供の臓器提供、延命治療、そして最先端医療技術。重いテーマに、様々な人々の想いが絡み合い、読んでいくうちに、果たしてどれが最良の方法なのか、選択なのか、分からなくなりました。
私自身は、もう随分前に、尊厳死協会に登録をし、臓器提供意思カードも所持しています。そして、もちろんのことながら、それらのことについて家族とも話し合い、それぞれの意志も確認しています。なので、もし私がそうなったら、家族がそうなったら、この物語の家族のように迷うことはないのかなぁと思ってました。私が脳死状態になったら、今でもその意志に変わりはありません。でも、家族が実際にそうなったら、どういう思いが胸の内に広がっていくんだろうと、ちょっと分からなくなってしまいました。握りしめた手がピクリと動いたら。動いたと感じてしまったら・・・。この両親のように、臓器提供に踏み切れるのかどうか。自信が無くなってしまったというのが正直な気持ちです。
でもね、この家族のように機械で娘の身体を動かそうとか、それは思わないかなぁ。なんだかそれはちょっと違うような気がする。娘のことを考えて、というよりも、親のエゴのような気がしてならなかった。なので、その辺は祖父の気持ちにすごく共感しました。
これはどういうラストになるんだろうと思っていたんですが、まさかの母親の行動にビックリ。もし、本当に刺していたら、どういう判断がなされたんでしょうね。司法的には結論付けられても、心情的には・・・。うーん、難しい問題ですね。そして、ずっと続くのかと思いきや、最期は呆気なく訪れる。ご両親、特に母親は、やれるだけのことはやったという思いもあったのかなと思いますが、今度は淡々と受け入れていく様が印象的でした。
重いテーマであったにも関わらず、なんとも清々しいような、そんな気持ちの読後感。自分でも不思議ですし、その気持ちをうまく言葉にできません。
何が正しいかとは今でも言えませんが、自分自身のことも含めて、深く深く考えさせられた作品でした。それにしても、東野さんはよくこういうお話を書けたなぁと、思ってしまいました。
(2015.01.08 読了)