「神様のカルテ」シリーズの番外編という感じの短編集。一止の学生時代から始まり、一止と恋人時代の榛名のお話までの4編。タイトルに付いている「0」という数字の通り、シリーズの前日譚を描いた1冊。
「そうそう!これこれ!これが読みたかった!」という感じで、まさに”痒い所に手が届く”短編の数々。どれもこれもが興味深く、そして、ちょっぴり涙腺を緩ませながら読みました。
・有明
医師国家試験前の一止たちの様子。まさに「青春!」という感じのお話でした。その上、あ、この人!と思わず声を上げてしまった登場人物たち。こういう関係だったんだなぁというのが改めて分かって嬉しかった。
・彼岸過ぎまで
一止がやってくる前の本条病院の様子。事務長の基本的姿勢みたいなものが見えるお話でした。グッときました。私も自分の職務について、こういう風に言えるようになりたい。・・・とは思うけど、そこまで自分に厳しくなれないし、実力が伴わないのがなんともなぁ。大狸先生との関係も良いなぁと思いました。
・神様のカルテ
本庄病院に赴任したばかりの研修医時代の一止のお話。初めての担当患者さんとの交流には涙、涙・・・。医師として、患者さんの意志を尊重するのは大事だと思うけど、こういうのはツライなぁと思いました。でも、患者の立場(にしかなれない私)としては、こういう先生に担当してもらえたら、と願わずにはいられません。「神様のカルテ」というタイトルの意味が分かったのも良かった。深い・・・。
・冬山記
一止と恋人時代だった時の榛名が冬山で出会った人々のお話。榛名の過去の一端が語られ、彼女の思いが描かれている。凄い人だなぁというが、正直な感想。こういう人と夫婦になった一止も凄い人だなと改めて思ったお話でした。
このお話も良かったけれど、欲を言えば、一止と榛名の出会いの物語も読んでみたいんですけど!どうやって知り合ったのかとか、ね。すごーく気になります(笑)いつか書いてもらえると嬉しいなぁ。
(2015.03.31 読了)