「ジョーカー・ゲーム」「ダブル・ジョーカー」「パラダイス・ロスト」に続くシリーズ4作目。短編2編と中編1編を収録。
もっと読みたい!と切望していたものの、「4作目も読めるとは!」と思っている自分がいたりします(笑)こういうスパイ物って、ネタが大変じゃないかなぁと思うんだけど、今作も含め、毎作々、とても楽しませてもらえて嬉しい限りです。ただ、タイトルがどうも気になる。これって、まさかシリーズ最終巻ってこと?ということは、いよいよ結城の正体やら何やらが明かされるってことかな?と、様々なことを思いながら読み始めたのでした。
・アジア・エクスプレス
疾走する特急列車を舞台に、D機関の諜報員である瀬戸とソ連の諜報員との駆け引き。逃げられない列車内での攻防ということで、緊張感はいや増し。どうなることかとハラハラ。きっと大丈夫!とは思いつつ、でも、今回はもしかして・・と、ドキドキしました。心臓には良くないけど、この緊張感がたまりません(笑)
・舞踏会の夜
華族出身の陸軍中将の妻である顕子が主人公。20年前に出会った人物との再会を願い舞踏会の夜を過ごす顕子の姿。会いたい相手は結城中佐のようだし、物語も淡い恋物語風で、これは今までのお話とちょっと毛色が違うなぁ。・・・と、そんなことを思って油断してた。最後の種明かし(?)で、そういうことかー!とギリギリしちゃいました(笑)
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3編目はネタバレ気味です。
未読の方はご注意を!
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・ワルキューレ
中編。これは、映画化された影響なのかな?と思ってしまったんだけど、ドイツでの映画撮影現場を舞台にしたお話でした。
なんだか、今回のスパイである雪村はやることが派手だなぁ・・・と、ちょっと戸惑いながら読んだら、そういうことか!なラストでした。このお話も、まんまと騙されちゃったよ(笑)D機関は陸軍の組織だったな、ということを改めて認識させられたのでした。陸軍と海軍の対比は面白いけれど、これってどうなんだろうとも考えさせられる。同じ国であっても組織が違えば考え方も違うのはしょうがないと思うんだけど、こういう組織くらいは共通というかね、統一させればいいのになぁと思わずにはいられない。まぁ、D機関自体が直轄の陸軍内でも異例の組織ということであるから、他軍との統一というのは余計に難しいんでしょうけどね。
あ~今回も面白かった!と読了して、おや?と思う。読む前に心配していた「これがシリーズ最終巻?」というのには答えが出なかったような。まだ続きそうな、そんな雰囲気なんだけども。だったら嬉しいけれど、どうなのかな。
(2015.02.24 読了)