ホラー短編集。
各短編のタイトルページを一目見て、「うわ、これは夜は読めない。昼間に読もう・・・」と思い直して、寝る前に読むのは止めましたよー。いや、怖いって。特に各短編のタイトルの書き方には恐怖心が湧いてしまいますよ;;;
・・・と、怖がりなのに、ホラー系にもついつい手を出しちゃうんですよねぇ。なんなんでしょうね。。。
古い家屋に引っ越した主人公が怪異に出会い、それを営繕かるかやの尾端さんのアドバイスを受けてリフォームしていく・・・というお話。
どれも、最初は怖いんですよ。最初は「あれ、おかしいなぁ・・・」という感じだったのが、だんだんと気のせいではなくなっていく。じわじわと恐怖が湧き上がり、得体のしれないモノに怯える日々。主人公の女性たちと一緒に、恐怖を味わいました。怖かったー。
と、かなり怖かったんだけど、営繕かるかやの尾端さんが登場すると、いともあっさりと解決されてしまう。その後は、「めでたし、めでたし」な感じが、なんとも拍子抜けでして。いや、怪異が無くなったのはいいんだけど、「え、これで終わり!?」みたいな、ね。まぁ、怖がりな私としては、読み終わっても恐怖感が残ることが少なかったので良かったんですが、あまりにもあっさりと解決しすぎちゃって・・・。尾端さんにも、もうちょっと活躍してほしかったなぁと思ったし。短編だから、そこはしょうがないのかな。もうちょっと何か・・・と思ってしまうのは、読者の我儘なんでしょうか。
怪異が起こった経緯というのが、切ないものが多かったのも、そこまで恐怖感を引きずることがなかった理由かな。特に「異形のひと」「檻の外」は哀しい出来事が発端だったので、理由が分かると怖いよりも切ない気持ちの方が大きくなってしまいました。どうか、安らかに・・・と願わずにはいられません。
・奥庭より
・屋根裏に
・雨の鈴
・異形のひと
・潮満ちの井戸
・檻の外
(2015.01.30 読了)
2015年01月31日
2015年01月30日
旅者の歌 始まりの地(小路幸也)
うわーっ、ドキドキした、ドキドキした、ドキドキしたーっ!!
小路さんのファンタジー。最初は小さな村の物語だと思ってたんですよね。それが、どんどんどんどん世界が広がって、すごく広い、それこそ地球規模の世界のお話になったのでビックリしました。ワクワクのドキドキ、不安のドキドキ、どっちのドキドキも味わえて、もうね、すごくすごく楽しかった!
この作品は電子書籍限定配信のファンタジーだったようでですね。その辺のところは全く知りませんでした。「本は紙!」と思ってる頭の固い私は、「電子書籍」については全く興味がないので(笑)でも、これから、こういう方法での発表も増えるんでしょうか・・・。今回は書籍化してくれたので読めましたが、限定配信という形にされるとツライなぁ・・・。
7歳、14歳、21歳の誕生日は野獣に換身しうる「試の日」とされるシィフルの地で育ったニィマール。双子の兄のトゥール、姉のティアラ、そして、婚約者のジェイラの四人は誕生日が同じであることから同じ日に、14歳と21歳の試の日を迎える。その夜、兄と姉、そして婚約者までが野獣へと換身してしまう。彼らを救うために、旅者(リョシャ)となり彼らと旅立つことを決めたニィマールは・・・。
”大長編エンターテイメント”ということで、この1巻目はプロローグ編という感じだったかな。この世界の説明みたいな部分に大半を占められていました。とはいえ、シィフルという狭い土地の中で生きてきた4人が外の世界へ旅立つ最初の物語だったので、彼らと一緒に新たな世界のことを知っていく・・・という印象で、そこまで”説明臭さ”みたいなものは感じなかった。それよりも、この新たなファンタジーはどんな世界なんだろうという興味の方が大きくて、特に中盤以降は本当にワクワクしました。
話者、離者、間者、アルワンと様々な人々が登場し、耳慣れない言葉に戸惑ったりもしましたが、このファンタジー世界を形造るものが少しずつ、少しずつ開示され、世界が広がっていく度に、その戸惑いもなくなっていきました。何よりも新しいファンタジー世界に触れたことの高揚が大きかった。
って、さっきから、そればっかり語ってるような気がするんだけど(笑)とにかく、まさか小路作品でこんなワクワクなファンタジーが読めるとは思ってなかったので、驚きと喜びで読んでる間中、テンションだだ上がりだったんですもん。
「魂の地」を求めての旅は始まったばかり。これから彼らに降りかかる困難がどんなものなのか、旅の果てにどんな物語が待っているのか、無事にシィフルに戻れるのか。楽しみに読んでいきたいと思いました。
・・・先は長そうな気はするけど;;;
(2015.01.29 読了)
小路さんのファンタジー。最初は小さな村の物語だと思ってたんですよね。それが、どんどんどんどん世界が広がって、すごく広い、それこそ地球規模の世界のお話になったのでビックリしました。ワクワクのドキドキ、不安のドキドキ、どっちのドキドキも味わえて、もうね、すごくすごく楽しかった!
この作品は電子書籍限定配信のファンタジーだったようでですね。その辺のところは全く知りませんでした。「本は紙!」と思ってる頭の固い私は、「電子書籍」については全く興味がないので(笑)でも、これから、こういう方法での発表も増えるんでしょうか・・・。今回は書籍化してくれたので読めましたが、限定配信という形にされるとツライなぁ・・・。
7歳、14歳、21歳の誕生日は野獣に換身しうる「試の日」とされるシィフルの地で育ったニィマール。双子の兄のトゥール、姉のティアラ、そして、婚約者のジェイラの四人は誕生日が同じであることから同じ日に、14歳と21歳の試の日を迎える。その夜、兄と姉、そして婚約者までが野獣へと換身してしまう。彼らを救うために、旅者(リョシャ)となり彼らと旅立つことを決めたニィマールは・・・。
”大長編エンターテイメント”ということで、この1巻目はプロローグ編という感じだったかな。この世界の説明みたいな部分に大半を占められていました。とはいえ、シィフルという狭い土地の中で生きてきた4人が外の世界へ旅立つ最初の物語だったので、彼らと一緒に新たな世界のことを知っていく・・・という印象で、そこまで”説明臭さ”みたいなものは感じなかった。それよりも、この新たなファンタジーはどんな世界なんだろうという興味の方が大きくて、特に中盤以降は本当にワクワクしました。
話者、離者、間者、アルワンと様々な人々が登場し、耳慣れない言葉に戸惑ったりもしましたが、このファンタジー世界を形造るものが少しずつ、少しずつ開示され、世界が広がっていく度に、その戸惑いもなくなっていきました。何よりも新しいファンタジー世界に触れたことの高揚が大きかった。
って、さっきから、そればっかり語ってるような気がするんだけど(笑)とにかく、まさか小路作品でこんなワクワクなファンタジーが読めるとは思ってなかったので、驚きと喜びで読んでる間中、テンションだだ上がりだったんですもん。
「魂の地」を求めての旅は始まったばかり。これから彼らに降りかかる困難がどんなものなのか、旅の果てにどんな物語が待っているのか、無事にシィフルに戻れるのか。楽しみに読んでいきたいと思いました。
・・・先は長そうな気はするけど;;;
(2015.01.29 読了)
2015年01月29日
八月の六日間(北村薫)
40歳目前、文芸誌の副編集長をしている女性が、休みの度に山に登り、心が少しずつ救われていく・・・そんな連作集。
実際にはそんなに簡単なものじゃないと分かっていても、この小説を読んでいると、ついつい「うわー私も山に登ってみたーい!」と思っちゃいます。そして、「私でも登れそうだなぁ・・・」と勘違いしちゃいそうになります。だって、山についての魅力が満載だし、主人公は同年代だし。出来そうな気持ちになっちゃうのも無理はないと思うんですよねぇ。
・・・と、テンションが上がったんだけど、小説の最後にきちんと注意書きがしてありました。私のような勘違い者が出ないような配慮ですね(笑)
登山に向かう前の準備の様子が描かれてるんだけど、そこで主人公がチョイスするのが文庫本とおやつ。その携行食の数々が美味しそうで!甘いもの、辛いものの組み合わせに、「うわ、それ私にもくれー!」と何度も思いました(笑)そして、文庫本のチョイスもね、なるほどーと思ったり、それ読んでみたいなぁと思ったりしました。
3年前に別れた恋人に想いを残す主人公は、その想いを振り払うかのように休みになると様々な山に登る。槍ヶ岳や常念岳、冬には雪山ツアーに参加したり。山の魅力に接したり、登山を通じて知り合った人と触れ合ったりしながら、その想いが少しずつ変化していく。昇華していくって感じかな。最後に、偶然にもかつてに恋人と再会するんだけど、そのシーンが印象的でした。心穏やかに再会できて良かったなぁと思いました。
--思い通りの道を行けないことがあっても、ああ、今がいい。わたしであることがいい。(p203)
という言葉が印象に残っています。思わず涙腺がゆるんじゃいました。私もそんな言葉がスルリとこぼれる様な、そんな境地に辿り着きたい。
・九月の五日間
・二月の三日間
・十月の五日間
・五月の三日間
・八月の六日間
(2014.07.03 読了)
実際にはそんなに簡単なものじゃないと分かっていても、この小説を読んでいると、ついつい「うわー私も山に登ってみたーい!」と思っちゃいます。そして、「私でも登れそうだなぁ・・・」と勘違いしちゃいそうになります。だって、山についての魅力が満載だし、主人公は同年代だし。出来そうな気持ちになっちゃうのも無理はないと思うんですよねぇ。
・・・と、テンションが上がったんだけど、小説の最後にきちんと注意書きがしてありました。私のような勘違い者が出ないような配慮ですね(笑)
登山に向かう前の準備の様子が描かれてるんだけど、そこで主人公がチョイスするのが文庫本とおやつ。その携行食の数々が美味しそうで!甘いもの、辛いものの組み合わせに、「うわ、それ私にもくれー!」と何度も思いました(笑)そして、文庫本のチョイスもね、なるほどーと思ったり、それ読んでみたいなぁと思ったりしました。
3年前に別れた恋人に想いを残す主人公は、その想いを振り払うかのように休みになると様々な山に登る。槍ヶ岳や常念岳、冬には雪山ツアーに参加したり。山の魅力に接したり、登山を通じて知り合った人と触れ合ったりしながら、その想いが少しずつ変化していく。昇華していくって感じかな。最後に、偶然にもかつてに恋人と再会するんだけど、そのシーンが印象的でした。心穏やかに再会できて良かったなぁと思いました。
--思い通りの道を行けないことがあっても、ああ、今がいい。わたしであることがいい。(p203)
という言葉が印象に残っています。思わず涙腺がゆるんじゃいました。私もそんな言葉がスルリとこぼれる様な、そんな境地に辿り着きたい。
・九月の五日間
・二月の三日間
・十月の五日間
・五月の三日間
・八月の六日間
(2014.07.03 読了)