「演劇集団キャラメルボックス」での舞台化の為に書かれた作品。
少年時代に親の虐待を受け、勤めてる会社の倒産が決まっている大和。職場の同僚である元恋人に今も思いを寄せる。両親が別居し母親と暮らしている航平。母親の海外転勤の為に日本を離れることになっており、両親の仲直りを願っている。他に選択肢がなくサラ金の取り立てをしている赤木。部下二人を持つ。
有川さんらしい安定の面白さでした。元恋人同士の切ない想いや、両親の仲を元に戻したいと願う小学生の気持ち、そして、生きるためにサラ金の取立て屋になるしかなかった男の思いなど、胸に迫ってくるものもあって、時折、涙腺を緩ませながら読みました。
全てが丸く収まった大団円というカタチではなかったのも、有川さんらしいかな。最後、航平の気持ちを考えると切ない気持ちになりますが、これは、もうね、しょうがない。どうにもならないことってあるし。でも、最後は両親がきちんと航平と向き合ってくれて良かったなぁと思えました。その分、大和には頑張ってもらって、幸せを掴み取って欲しいと思います。きっと大丈夫よね・・・。
面白かったのは面白かったんだけど、これは「舞台」の為のお話なんだなぁと、そんなことを思ったのも事実。特に、ラストの展開などは「えぇっ!いきなりそうくる!?」と突っ込みたくなってしまった。まぁ、これはこれで面白かったんだけど、”舞台のクライマックスとしては”、とっても見応えがあったんだろうなぁと思いました。
舞台を観てない私としては、ちょっと気持ちが付いていけなかったかな。有川作品を読むときは、いつも理性を吹き飛ばして最後まで一気に読みきるんだけど、今回はちょっと冷静になってしまった自分がいました。
ちょっぴり残念。。。
(2014.10.26 読了)